国民勤労動員令

国民勤労動員令について

国民勤労動員令（こくみんきんろうどういんれい）は、1945年3月6日に日本で公布・施行された勅令です。この勅令は、第二次世界大戦の真っただ中、特に大東亜戦争における戦局が厳しさを増す中で、国家の労働力を効果的に活用することを目的としていました。

背景と目的

本勅令は、国家総動員法に基づく形で制定されたもので、さまざまな労務関係の勅令を一本化したものです。具体的には、国民徴用令、労務調整令、学校卒業者使用制限令、国民勤労報国協力令、そして女子挺身勤労令が含まれていました。これにより、国民全体を戦争に動員しようとする政策が体現されたのです。

特に、本土決戦に向けた国民の動員を促進するために、「国民皆働」というスローガンが掲げられ、全ての国民が戦局への貢献が求められました。このため、文科系の大学や高等専門学校の閉鎖が行われ、卒業予定者も含めて学生たちが労働力として動員される対象となりました。さらに、病人までもが活用されるなど、動員の範囲は広がりました。

廃止の経緯

しかし、この国民勤労動員令は、戦争の終結に伴い、1945年10月10日に廃止されました。この廃止は、第44代内閣総理大臣幣原喜重郎によって進められ、昭和天皇への上奏により発布された「国民勤労動員令廃止等ノ件」（勅令第566号）によって正式に行われました。

このように、国民勤労動員令は厳しい戦時体制における国の政策を示す重要な法律であり、戦争の影響を受けた国民の日常生活や価値観にも大きな変化をもたらしました。戦後の復興を遂げる中で、このような動員政策がどのように記憶され、評価されるのかは今後の日本社会にとっても大きなテーマとなるでしょう。

関連項目

国民勤労動員令は、他のさまざまな戦時政策や制度とも関連しています。たとえば、徴用制度の実施や学徒勤労動員、女子挺身隊などがそれにあたります。これらの制度は、戦局に応じて国民の生活に直接影響を与え、その後の日本社会における労働観や価値観にも深く関わってきました。

外部リンク

詳しい情報は国立公文書館の公式サイトでも確認できます。国民勤労動員令に関連する資料や歴史的文書が閲覧可能です。

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