国民勲章

韓国の国民勲章について

国民勲章（こくみんくんしょう、朝: 국민훈장）は、大韓民国において、社会の発展に大きく貢献した人物に授与される栄誉ある勲章です。1967年1月16日の賞勲法改正により制定され、当初は文化や体育分野の功績者も対象としていましたが、後に文化勲章と体育勲章が新設されたため、現在では政治、経済、社会、教育、学術分野での貢献が対象となっています。

授与対象

賞勲法第12条によると、国民勲章は「政治・経済・社会・教育・学術分野に功績を立てて国民の福祉向上及び国家発展に寄与した功績が明確な者」に授与されます。制定当初は、体育や文化の発展に貢献した者も対象でしたが、1973年の賞勲法改正により、これらの分野は文化勲章と体育勲章として分離されました。これにより、国民勲章はより専門的な分野における貢献を評価する勲章となりました。

等級

国民勲章は5つの等級に分かれており、各等級の名称は賞勲法施行令第11条によって定められています。等級は、貢献の度合いに応じて分けられ、上位の等級ほど、より大きな功績が認められた人物に授与されます。

無窮花章（ムグンファジャン）： 最上位の等級で、大綬章と副章が授与されます。
牡丹章（モランジャン）： 2番目に高い等級で、中綬章と副章が授与されます。
冬柏章（トンベクチャン）： 3番目の等級で、中綬章が授与されます。
木蓮章（モクリョンジャン）： 4番目の等級で、小綬章が授与されます。
石榴章（ソクリュジャン）： 最下位の等級で、小綬章が授与されます。

国民勲章の下位には、国民褒章（こくみんほうしょう、朝: 국민포장）が存在します。国民褒章は国民勲章よりも授与対象が広く、人命救助や財産の寄付などの善行、公益事業に従事した人物も含まれます。国民褒章は、より幅広い範囲での社会貢献を評価するものです。

意匠

国民勲章の意匠は、賞勲法施行令第13条によって定められています。章と綬からなる正章、襟章と略綬のセットが基本であり、上位2等級の無窮花章と牡丹章には副章が添えられます。

章飾は、表面中央の紅玉円板にあしらわれた無窮花から八稜の太陽光線が伸びた形状をしており、正章には月桂冠と鳩の翼を組み合わせた鈕が付いています。綬は黄色地で両端に緑線が入り、石榴章から牡丹章までは細線が1本ずつ増えます。無窮花章の大綬は無地で、略綬は太線1本となります。この線の本数と太さで等級が区別されます。

正章は、無窮花章は大綬章として右肩から下げて佩用し、牡丹・冬柏各章は中綬章として喉元に帯びて佩用、木蓮・石榴各章はロゼット付きの小綬章として左胸に佩用します。上位2等級の副章は、いずれも左胸に佩用する星章です。

国民褒章も木蓮・石榴各章と同様のロゼット付き小綬章ですが、金属部品が銀色で、綬は黄色地の中央に緑線1本が入ります。なお、以前は無窮花章の女性用章飾は男性用よりも小さい寸法でしたが、2015年の改正により男性用と統合されました。

著名な受章者

国民勲章は、様々な分野で功績をあげた多くの人物に授与されています。以下はその一部です。

黄慧性（ファン・ヘソン、1986年）：
トム・キム：
ベンジャミン・W・リー：
李承憲（イルチ・イ、一指李承憲）：
ケビン・オドネル：
ヨンギー・パクパーン（2007年）：
朴木月（パク・モクウォル、1972年）：
孫基禎（ソン・キジョン）：
ヤール・ヴァールストレーム（1983年）：
李方子（イ・バンジャ）（大韓帝国最後の皇太子李垠の妃･日本の元皇族、梨本宮方子）：死後追贈
杉岡洋一（2002年）：日本の医学者、九州大学総長
富山妙子（2021年）：日本の画家
中嶋正昭（2021年）：日本基督教団牧師、故人

これらの受章者は、それぞれの分野で社会に大きく貢献し、国民から尊敬を集めています。

まとめ

国民勲章は、大韓民国において、社会の発展に大きく貢献した個人を称える重要な勲章です。その歴史、等級、意匠、受章者を知ることで、韓国社会における功績の重要性と、国家がそれをどのように評価しているかを知ることができます。

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