李方子

李方子の生涯と業績

李方子（り まさこ）は、1901年11月4日に梨本宮守正王と伊都子妃の第一王女子として生まれました。彼女の生まれた家系は、肥前佐賀藩主・鍋島直正の子孫であり、彼女自身も日本の皇族として特別な待遇を受けて育ちました。父親は梨本宮家の当主であり、母はその家の妃でした。方子は当初、皇太子裕仁親王（後の昭和天皇）の妃候補の一人に挙がるほどの存在でしたが、最終的には李王垠と婚約する運命を辿ります。

方子が李王世子である李垠と婚約したのは、1916年8月のことで、その知らせを新聞で知った方子はショックを受けました。しかし母親の説明を受け、前向きに結婚に臨むこととなります。日本と韓国の皇族との結婚の際に法的な問題が生じましたが、1918年にその障壁が解消され、正式に結婚する運びとなりました。

1918年12月8日に納采の儀が行われ、翌年の1月25日に予定されていた婚儀は、李垠の父である李太王の死去により延期されました。この事件は、脳溢血によるもので、日本側による毒殺説も存在します。結局、1920年に方子は李垠と結婚し、王公族の一員としての生活が始まります。この結婚に際して、彼女は天皇の御沙汰によって女王の身分を保持しました。

夫との結婚後、彼女は幸せな家庭生活を送る一方で、朝鮮に訪問し、李王朝の儀式に参加するなど、夫の国との関係を大切に考えていました。1899年には第一子が誕生しましたが、悲しいことに彼は急性の消化不良で亡くなりました。その後、方子は度々悲しい出来事に直面し、1923年と1930年にはそれぞれ流産を経験していますが、1931年には第2子が誕生します。

1945年の日本の敗戦後、方子とその夫は王公族の身分を失い、1952年には日本国籍も喪失しています。この時、李垠は財産税法の影響で生活が困難となり、方子は日本での生活を余儀なくされました。しかし、彼女は決して希望を失わず、子供たちを支えながら新たな道を歩むことを選びました。

1960年には韓国に帰化し、障害児教育に力を入れることになりました。方子はその特技を生かして、様々な福祉施設や教育機関の設立に尽力しました。彼女の活動は一般から高く評価され、1981年には韓国政府から牡丹勲章を受賞しました。方子の晩年は多くの人々に感謝され、彼女が取り組んだ福祉活動は韓国社会の発展にも寄与しました。

1989年4月30日、李方子は87歳でこの世を去りました。彼女の葬儀は韓国皇太子妃の準国葬として厳粛に行われ、日本からも多くの人々が参列しました。遺産として残した活動や思想は、今もなお多くの人々に受け継がれています。李方子の人生は多くの歴史的出来事に彩られており、今後もその影響は語り継がれることでしょう。

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