国民救済党

国民救済党 (Milli Selamet Partisi, MSP)

国民救済党は、トルコのイスラーム系政党で、1972年に設立された。党の前身は1970年にネジメッティン・エルバカンによって創設された国民秩序党であり、その設立はトルコ政治の基盤に影響を与えた。国民秩序党は1971年の書簡クーデタにより解党され、エルバカンは一時スウェーデンに亡命した。その後、国民秩序党の幹部たちが集まり、新たに国民救済党が結成され、初代党首にはスュレイマン・アリフ・エムレが選ばれた。しかし、1973年にエルバカンが正式に党首に返り咲くこととなる。

政権与党としての活動

国民救済党は、1973年の総選挙で48議席を獲得し、翌1977年の選挙でも24議席を獲得するなど、トルコの政治において重要な役割を果たす。在任中は共和人民党や公正党との連立政権に参加し、特に1974年の共和人民党との連立政府では、エルバカンが副首相として入閣した。

この政権はコンセンサスを保つのが難しく、賛同者や支持勢力の違いから閣内での衝突が目立った。特に、キプロス危機の影響で政局が不安定化し、最終的にはエジェヴィトが辞任することになった。以降、別の連立政権が誕生し、国民救済党は閣僚ポストを得るなど、その影響力を保持した。また、経済関連での施策も多く実施され、地域雇用を促進するための国営企業の設立なども行われた。

1980年クーデター

1970年代末、トルコの政局は極度に不安定化し、テロ事件や経済危機が深刻化していた。このような状況の中でエルバカンは過激なデモを行い、世俗主義の原則に対して公然と反発する姿勢を示した。これが軍部にとって大きな脅威とみなされ、1980年の軍事クーデターの引き金となった。

クーデターによって全政党の活動が禁止され、国民救済党も非合法化された。エルバカンをはじめとする党の幹部は逮捕され、その支持基盤は後の福祉党の結成に繋がった。

選挙結果と影響

国民救済党は、様々な選挙に参加し、その結果を示しているが、主に影響を受けるのはその得票率と議席数である。1970年代のトルコ政治において、イスラーム系政党の台頭が着実に進行する中、国民救済党もその一翼を担った。特にエルバカンのリーダーシップ下で、党は国内外の注目を集める存在となった。

歴代党首

• - スュレイマン・アリフ・エムレ (在任1972年-1973年)
• - ネジメッティン・エルバカン (在任1973年-1980年)

国民救済党は、トルコのイスラーム政治の歴史において忘れることのできない存在であり、世俗主義と宗教的信念との狭間で揺れ動くトルコ社会の象徴でもあった。

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