公正党

公正党の歴史

公正党（トルコ語：Adalet Partisi, AP）は、トルコの中道右派政党であり、1961年に設立されました。この党の前身は、1960年に軍事クーデターによって解党された民主党です。公正党は、その設立当初から1960年代から70年代にかけてトルコの政治において重要な役割を果たしました。

沿革と設立

民主党は1960年5月27日の軍事クーデターにより解散し、その議員たちはマルマラ海のヤッス島に集められ、厳しい裁判を受けることになりました。民主党の主要メンバーであるアドナン・メンデレス元首相や他の幹部が処刑されるなど、党の影響力は完全に失われました。

公正党はその後、1961年2月11日に設立され、旧民主党の支持者たちの受け皿となりました。設立当初の党首は前参謀総長のラグプ・ギュミュシュパラであり、党は1961年10月の総選挙で34.8%の票を獲得して、共和人民党との連立政権を樹立しました。しかし、旧民主党議員の特赦に関する対立により、1962年には連立政権を離脱しました。

その後、ギュミュシュパラが1964年に死去すると、スュレイマン・デミレルが党首に選ばれました。デミレルのもとで、1965年の総選挙では、党は52.9%という圧倒的な支持を受け、単独過半数を獲得しました。これにより、公正党は政権を握り、安定した政治基盤を築くことができました。

1970年代の動向

デミレル政権は、原材料や部品の輸入を通じた工業化政策を進め、民間部門の発展を促すためにさまざまな優遇措置を講じました。しかし、この政策は大企業には利益をもたらしましたが、地域間の経済格差を拡大させ、都市部の貧困層の増加を招く結果となりました。

1970年頃、政権の崩壊に寄与したのは、与党議員の造反や、学生運動、労働争議といった左派の社会運動の影響でした。結果、デミレル内閣は1971年の「書簡クーデター」により退陣を余儀なくされました。

その後、ニハト・エリムを首班とした超党派内閣が成立しましたが、公正党は支持を失い、1973年の総選挙では得票率が29.8%にまで低下しました。共和人民党が第一党となり、政権の座を失った公正党は一時的に影響力を失います。

1974年から75年にかけての政局混乱の中、再び政権を握る機会を得た公正党は、様々な右派政党と連携して第4次デミレル内閣を形成しましたが、その後も政権基盤は不安定でした。

軍事クーデターとその後

1980年には再び軍事クーデターが発生し、公正党を含む全ての政党が解散されました。デミレルも政治活動を禁止され、以降は民政移管を経て、公正党の支持者は正道党や祖国党に流れることとなります。公正党は、このようにトルコ政治の変遷の中で重要な役割を果たしつつも、激動の時代を経て解党されることとなりました。

衆議院での得票率と歴代党首

公正党が関連する選挙での得票率や獲得議席数は、政治の流動性を映し出しています。また、当党の歴代の党首として、ラグプ・ギュミュシュパラとスュレイマン・デミレルが存続期間を通じて重要な役割を果たしました。

公正党は、トルコの民主主義と政治的な変化の中で、その存在意義を持ち続けた政党です。

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