国沢新兵衛

国沢新兵衛の生涯と業績

国沢新兵衛（くにさわ しんべえ、1864年12月21日 - 1953年11月26日）は、日本の歴史に名を刻む鉄道官僚、実業家、そして政治家です。工学博士の称号を持ち、南満洲鉄道の理事長や衆議院議員、日本通運の初代社長を務めました。彼はまた、洋画家の国沢新九郎の兄としても知られています。

幼少期と学び

国沢は土佐藩士である国沢四郎右衛門好古の子として江戸で生まれました。彼は1879年に高知県から船で上京し、その後は美會神学校を経て帝国大学工科大学土木学科に入学しました。在学中には、日本鉄道の黒磯駅と白河駅の建設に携わるなど、早くから鉄道技術に関わる道を歩み始めました。1889年に卒業すると、九州鉄道に入社し、長崎本線の建設に携わりました。

鉄道局でのキャリア

1893年、彼は逓信省鉄道局へ移り、北陸本線の建設に従事しました。1899年から1902年までは欧米に派遣され、帰国後は金沢出張所の所長を務め、鉄道局設計課での業務に携わりました。このような経験を経て、鉄道技術の専門知識を深め、国沢の名声は高まっていきます。

南満洲鉄道とその後

1906年に南満洲鉄道株式会社が設立されると、国沢は初代の技術系理事として指名され、標準軌への改軌などの重要なプロジェクトに取り組みました。1908年に筑水家の中村是公が総裁に就任すると、副総裁として再び重職につきますが、政局の変遷に伴い、数回の退任と復帰を経験しました。1917年から1919年には南満洲鉄道の理事長としてその舵を取ります。

政治活動

1920年、国沢は政友会の候補者として衆議院議員に当選しました。1924年の政友会の分裂時には退党せず、しばらくは政界において重要な役割を果たしましたが、その後は静まり返りました。1926年から1929年には帝国鉄道協会の会長として鉄道業界の発展に寄与し、1928年には朝鮮京南鉄道の会長も務めました。

日本通運の初代社長

1937年、日本通運が設立されると国沢は初代社長に就任しました。その職責を1940年まで全うし、その後も母校である青山学院の理事や、多摩帝国美術学校の理事長を務めました。国沢はその温厚な人柄から、満鉄時代には「お父さん」と親しまれ、多くの人々に慕われました。

晩年と評価

国沢は晩年に脳溢血を患い、1953年に千葉県市川市の自宅でその生涯を閉じました。彼の生涯は多くの人々に影響を与え、鉄道産業の発展に貢献しただけでなく、業界内外での評価も高まりました。彼の人生には、鉄道愛にあふれたエピソードが残り、その中には送別会で涙を流しながら挨拶をした出来事もありました。彼の業績と人柄は、今も多くの人に語り継がれています。

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