国泰寺 (高岡市)

国泰寺の概要

国泰寺（こくたいじ）は、富山県高岡市に所在する臨済宗国泰寺派の本山で、山号は摩頂山を冠しています。本尊は釈迦如来です。この寺院は深い歴史と独特の文化を持っており、禅宗としての重要な基盤を形成しています。

歴史的背景

国泰寺の起源は1296年（永仁2年）に遡ります。この年、慈雲妙意が二上山に草庵を設置したことから寺の歴史が始まりました。妙意は草庵を訪れた孤峰覚明の指導を受け、さらには覚明の師である心地覚心からも禅の教えを学びました。1299年（正安元年）に再度二上山に戻り、悟りに向けての修行を始めました。その後、1304年（嘉元2年）には草庵を正式な寺院として開創し、摩頂山東松寺と名付けられました。

1328年（嘉暦3年）には、後醍醐天皇から「護国摩頂巨山国泰仁王万年禅寺」という号が下賜され、国泰寺の重要性が高まりました。しかし、戦国時代に入り、二上山に築かれた守山城を巡る争いの中で寺は焼失しましたが、神保氏の支援により復興を果たしました。

特に1585年（天正13年）には、前田利家の命によって方丈が没収され、守山城の書院に転用されることとなりました。江戸時代には、5代将軍徳川綱吉が国泰寺を法燈派の本山に指定しました。この時期、国泰寺は将軍に挨拶できるほどの格式を誇る存在であり、徳川家との近しい関係が築かれていました。

明治初年には普化宗の解体に伴い国泰寺は衰退しましたが、1905年（明治38年）には臨済宗国泰寺派として再び独立を果たしました。廃仏毀釈の動きがあった中で、山岡鉄舟の尽力により、多くの堂宇が再建されました。僧堂が開かれたのは1893年（明治26年）で、道津雪門老師によるものでした。近年では、哲学者である鈴木大拙や西田幾太郎らがここで禅の修行を行っています。

2020年には、近藤勇が身に着けていた甲冑が再発見され、国泰寺の所蔵文化財として注目されています。

利生塔と平和への取り組み

国泰寺には、稲葉心田老師が1964年（昭和39年）から「生命尊重」をテーマに教えを広めてきました。戦争や軍備拡張が続く中で、国泰寺は平和推進のシンボルである利生塔を再建することを発願しました。利生塔は、かつて足利尊氏の指導により作られたもので、全国に広がる寺と塔のネットワークの一部です。この塔は戦没者の追善や国家の安穏を祈るために建てられました。

伽藍と主な行事

国泰寺には大方丈や法堂、禅堂、観音堂など多くの建物があり、特に大方丈は1686年に建立されました。法堂は1720年頃に再建され、他にも鐘楼や庫裡、台所、利生塔などがあります。

主な行事としては、釈迦の誕生を祝う降誕会や、開山慈雲妙意の法要である開山忌、また茶道表千家による献茶式などがあります。特に開山忌には、多くの虚無僧が集まり尺八の演奏が行われることでも知られています。

国泰寺は現在もその伝統を守り続け、地域社会への貢献を続けています。本寺の教えは、日本国内外に広がっており、生命を尊重するメッセージが多くの人々に受け入れられています。

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