国立ハンセン病資料館

国立ハンセン病資料館：差別と偏見からの解放、そして正しい理解へ

国立ハンセン病資料館は、東京都東村山市にある国立療養所多磨全生園内に位置する、ハンセン病に関する資料を収集・展示する施設です。ハンセン病患者への長年の差別と偏見、そしてその歴史を正しく理解してもらうために、貴重な資料を通して、問題の全貌を分かりやすく解説しています。

多様な資料を通して学ぶ、ハンセン病の歴史と現状

資料館では、古代から現代までのハンセン病の歴史、療養所の生活、治療薬の開発といった、多岐にわたる資料が展示されています。 ハンセン病患者が使用していた特殊通貨や、グルコスルホンナトリウムなどの治療薬のサンプルなども見ることができます。 さらに、世界のハンセン病問題についても解説することで、日本における問題を国際的な視点から捉えることができます。

特筆すべきは、日本のハンセン病問題における政府の対応について、批判的な視点も取り入れている点です。「無癩県運動」や政府の政策の失敗などが、包み隠さず提示されています。これは、過去の過ちを繰り返さないため、そして真摯な反省と未来への展望を示すために非常に重要な試みです。

しかし、資料館の中心的課題は、ハンセン病そのものよりも、患者や回復者に対する根強い差別と偏見にあります。資料館は、ハンセン病が現代では薬物治療で治癒する病気であること、そして新規患者数はほぼ皆無であることを明確に示すことで、誤解や偏見を払拭しようと努めています。

展示内容を通して、来館者はハンセン病の歴史、患者への扱い、そして克服への道のりを理解することができます。これにより、患者や回復者への誤解や偏見を解消し、差別のない社会の実現を目指すための第一歩を踏み出せるでしょう。

資料館の沿革と充実

資料館は、1993年に「高松宮記念ハンセン病資料館」として開館しました。その後、2001年のらい予防法違憲国家賠償訴訟の判決を機に、資料館の充実が図られました。2004年には基本計画書が作成され、2007年には「国立ハンセン病資料館」としてリニューアルオープンしました。2017年には、入館者数が40万人を突破するなど、広く社会から支持されている施設となっています。

利用情報

開館時間：9時30分～16時30分
休館日：月曜日および祝日の翌日
入館料：無料（要予約）
住所：〒189-0002 東京都東村山市青葉町4-1-13
* アクセス：西武池袋線清瀬駅、JR東日本新秋津駅からバスで約10分

隣接施設には、国立療養所多磨全生園や国立感染症研究所ハンセン病研究センターがあります。 これらの施設と合わせて見学することで、より深い理解が得られるでしょう。

未来への希望

国立ハンセン病資料館は、過去の過ちを二度と繰り返さないための、そして、ハンセン病患者や回復者への差別と偏見をなくすための重要な役割を担っています。 この資料館を通して、多くの人がハンセン病について正しく理解し、共生社会の実現に貢献することが期待されます。 無料開放されている貴重な機会を活かし、ぜひ一度足を運んでみてください。

もう一度検索