国立天文台三鷹キャンパス
国立天文台三鷹キャンパスは、東京都三鷹市に位置する自然科学研究機構国立天文台の本部キャンパスです。日本天文学会の本部も置かれており、日本の天文学研究の中核を担っています。東京大学天文学教育研究センターもキャンパス内にあり、研究交流が活発に行われています。
第一赤道儀室
1921年に建設された鉄筋コンクリート造の2階建ての建物で、1927年にカール・ツァイス社製の赤道儀が設置されました。この赤道儀は、口径20cm、焦点距離359cmで、重錘式時計駆動という珍しい方式を採用しています。1938年から61年間、太陽黒点観測に利用され、現在は登録有形文化財となっています。木製のドームも特徴的です。
大赤道儀室
1926年に建設された、鉄筋コンクリート造2階建ての建物です。1929年にカール・ツァイス社製の口径65cmの屈折望遠鏡が設置されました。これは屈折式望遠鏡としては日本最大口径を誇ります。第二次世界大戦中にはレンズが疎開されたり、ドームが迷彩色に塗り替えられたりしましたが、現在は天文台歴史館として一般公開されています。かつては床全体が昇降する構造でしたが、現在は固定されています。観測には老朽化のため使用されていませんが、こちらも登録有形文化財です。
50センチ公開望遠鏡
1995年に三鷹光器によって製作された、口径50cmのカセグレン式反射望遠鏡です。1996年4月から運用が開始され、一般向けの観望会で活用されています。フィルタや冷却CCDカメラも搭載されており、研究用としても利用されています。バリアフリー設計で、誰でも天体観望を楽しめるのが特徴です。集光力は肉眼の約5000倍です。
太陽塔望遠鏡（太陽分光写真儀室）
1930年に建設された、地上5階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造の建物で、ドイツの「アインシュタイン塔」と同じ目的で建造されたため、「アインシュタイン塔」とも呼ばれています。太陽黒点観測や太陽スペクトル観測で成果を上げました。1968年に観測は終了し、現在は外観のみが一般公開されています。登録有形文化財です。
子午儀資料館
1925年に建設された平屋建ての建物で、レプソルド子午儀による観測が行われていました。この子午儀は、1880年にドイツのA REPSOLD & SOHNE社で製作されたもので、かつては海軍の天文台で使用されていたものです。三鷹に移設後は、恒星の位置観測に使用され、日本初の本格的な星表「三鷹黄道帯星表」「三鷹赤道帯星表」を作成しました。子午儀は国の重要文化財、建物は登録有形文化財に指定されています。
ゴーチェ子午環室
1924年に建設された平屋建ての建物で、フランスのP.ゴーチェ社製の子午環が設置されています。この子午環は、1982年まで恒星の観測に使用され、その後、CCDマイクロメータを装備してクェーサーなどの精密観測にも利用されました。有効口径は20cm、焦点距離は310cmです。建物は登録有形文化財に登録されています。
天文機器資料館（自動光電子午環）
1982年に建設された建物で、カール・ツァイス社製の自動光電子午環が設置されています。この装置は、天体の位置を高精度で観測できるもので、恒星の位置を0.1秒角の精度で測定可能です。2007年に一般公開され、2008年からは建物自体が天文機器資料館として公開されています。
CfCA計算機室
天文シミュレーションプロジェクトで使用される、重力多体問題専用計算機「GRAPE」やシミュレーション用計算サーバが設置されています。
重力波実験棟
1999年から観測運転を開始した、一辺300メートルのレーザー干渉計が設置された施設です。大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」のための技術試験に用いられています。
太陽フレア望遠鏡
太陽活動と磁場の関係を研究するための施設で、赤外線偏光観測により、太陽からの可視光線、彩層からのHα線、光球と彩層の磁場の3種類のデータを同時に取得できます。
その他の展示施設等
展示室では、国立天文台のプロジェクトや、すばる望遠鏡の模型などを展示しています。旧図書庫は、1930年建設の鉄筋コンクリート造りの建物で、現在は外観のみ見学可能です。図書室では天文学や宇宙関係の資料を閲覧できます。4D2Uドームシアターでは、天体現象を3次元空間と時間で可視化する映像を鑑賞できます。
太陽観測所
太陽磁場の観測を京都大学大学院理学系研究科附属飛騨天文台と共同で行っています。乗鞍岳山頂には乗鞍コロナ観測所がありましたが、老朽化のため2009年度末で共同利用観測は停止されました。
大学院教育
総合研究大学院大学の研究教育施設であり、東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターも同居しています。様々な大学院からの学生を特別共同利用研究員として受け入れています。
その他
国立天文台の本部として、広報活動、先端技術開発、国際共同利用業務などを行っています。また、新天体発見の連絡窓口や、天文学の相談窓口も設置されています。
三鷹キャンパスは一部施設を事前予約なしで見学できます。定期的に望遠鏡やデジタルシアターを用いたイベントも開催されています。キャンパス内には駐車場がないため、公共交通機関の利用を推奨しています。
天体観望会
50cm公開望遠鏡を用いた天体観望会を毎月2回開催しています。主な観望対象は、太陽系内の惑星やメシエ天体です。晴天時以外は解説のみが行われます。
その他
地元三鷹市教育委員会や三鷹ネットワーク大学と連携して、天文学講座や親子天文教室を開催しています。夏休みには、小学生から高校生を対象とした天文教室や、高校生向けの宿泊型の天体観測教室も実施しています。
キャンパス内からは、旧石器時代から近世に至るまでの複合遺跡が発見されており、天文台構内遺跡と呼ばれています。また、全国で4例しか発見されていない上円下方墳である、天文台構内古墳もあります。
守衛所、事務棟、研究棟、図書室、データセンター、情報センターなどがあります。福利厚生施設として、売店や食堂、会議室も設置されています。また、研究目的の開発実験を行う実験棟も設置されています。東京大学天文学教育研究センターの本部施設もキャンパス内にあります。
東京都三鷹市大沢 2-21-1
JR武蔵境駅、京王線調布駅からバスでアクセスできます。
教育、研究所、天文台、公開天文台一覧
国立天文台の各施設、歴史、研究活動に関する詳しい情報は、公式ウェブサイトや関連資料をご覧ください。
国立天文台公式サイト、国指定文化財データベースへのリンクを参考にしてください。
施設概要
第一赤道儀室
1921年に建設された鉄筋コンクリート造の2階建ての建物で、1927年にカール・ツァイス社製の赤道儀が設置されました。この赤道儀は、口径20cm、焦点距離359cmで、重錘式時計駆動という珍しい方式を採用しています。1938年から61年間、太陽黒点観測に利用され、現在は登録有形文化財となっています。木製のドームも特徴的です。
大赤道儀室
1926年に建設された、鉄筋コンクリート造2階建ての建物です。1929年にカール・ツァイス社製の口径65cmの屈折望遠鏡が設置されました。これは屈折式望遠鏡としては日本最大口径を誇ります。第二次世界大戦中にはレンズが疎開されたり、ドームが迷彩色に塗り替えられたりしましたが、現在は天文台歴史館として一般公開されています。かつては床全体が昇降する構造でしたが、現在は固定されています。観測には老朽化のため使用されていませんが、こちらも登録有形文化財です。
50センチ公開望遠鏡
1995年に三鷹光器によって製作された、口径50cmのカセグレン式反射望遠鏡です。1996年4月から運用が開始され、一般向けの観望会で活用されています。フィルタや冷却CCDカメラも搭載されており、研究用としても利用されています。バリアフリー設計で、誰でも天体観望を楽しめるのが特徴です。集光力は肉眼の約5000倍です。
太陽塔望遠鏡（太陽分光写真儀室）
1930年に建設された、地上5階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造の建物で、ドイツの「アインシュタイン塔」と同じ目的で建造されたため、「アインシュタイン塔」とも呼ばれています。太陽黒点観測や太陽スペクトル観測で成果を上げました。1968年に観測は終了し、現在は外観のみが一般公開されています。登録有形文化財です。
子午儀資料館
1925年に建設された平屋建ての建物で、レプソルド子午儀による観測が行われていました。この子午儀は、1880年にドイツのA REPSOLD & SOHNE社で製作されたもので、かつては海軍の天文台で使用されていたものです。三鷹に移設後は、恒星の位置観測に使用され、日本初の本格的な星表「三鷹黄道帯星表」「三鷹赤道帯星表」を作成しました。子午儀は国の重要文化財、建物は登録有形文化財に指定されています。
ゴーチェ子午環室
1924年に建設された平屋建ての建物で、フランスのP.ゴーチェ社製の子午環が設置されています。この子午環は、1982年まで恒星の観測に使用され、その後、CCDマイクロメータを装備してクェーサーなどの精密観測にも利用されました。有効口径は20cm、焦点距離は310cmです。建物は登録有形文化財に登録されています。
天文機器資料館（自動光電子午環）
1982年に建設された建物で、カール・ツァイス社製の自動光電子午環が設置されています。この装置は、天体の位置を高精度で観測できるもので、恒星の位置を0.1秒角の精度で測定可能です。2007年に一般公開され、2008年からは建物自体が天文機器資料館として公開されています。
CfCA計算機室
天文シミュレーションプロジェクトで使用される、重力多体問題専用計算機「GRAPE」やシミュレーション用計算サーバが設置されています。
重力波実験棟
1999年から観測運転を開始した、一辺300メートルのレーザー干渉計が設置された施設です。大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」のための技術試験に用いられています。
太陽フレア望遠鏡
太陽活動と磁場の関係を研究するための施設で、赤外線偏光観測により、太陽からの可視光線、彩層からのHα線、光球と彩層の磁場の3種類のデータを同時に取得できます。
その他の展示施設等
展示室では、国立天文台のプロジェクトや、すばる望遠鏡の模型などを展示しています。旧図書庫は、1930年建設の鉄筋コンクリート造りの建物で、現在は外観のみ見学可能です。図書室では天文学や宇宙関係の資料を閲覧できます。4D2Uドームシアターでは、天体現象を3次元空間と時間で可視化する映像を鑑賞できます。
業務
太陽観測所
太陽磁場の観測を京都大学大学院理学系研究科附属飛騨天文台と共同で行っています。乗鞍岳山頂には乗鞍コロナ観測所がありましたが、老朽化のため2009年度末で共同利用観測は停止されました。
大学院教育
総合研究大学院大学の研究教育施設であり、東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターも同居しています。様々な大学院からの学生を特別共同利用研究員として受け入れています。
その他
国立天文台の本部として、広報活動、先端技術開発、国際共同利用業務などを行っています。また、新天体発見の連絡窓口や、天文学の相談窓口も設置されています。
一般公開
三鷹キャンパスは一部施設を事前予約なしで見学できます。定期的に望遠鏡やデジタルシアターを用いたイベントも開催されています。キャンパス内には駐車場がないため、公共交通機関の利用を推奨しています。
天体観望会
50cm公開望遠鏡を用いた天体観望会を毎月2回開催しています。主な観望対象は、太陽系内の惑星やメシエ天体です。晴天時以外は解説のみが行われます。
その他
地元三鷹市教育委員会や三鷹ネットワーク大学と連携して、天文学講座や親子天文教室を開催しています。夏休みには、小学生から高校生を対象とした天文教室や、高校生向けの宿泊型の天体観測教室も実施しています。
構内の遺跡
キャンパス内からは、旧石器時代から近世に至るまでの複合遺跡が発見されており、天文台構内遺跡と呼ばれています。また、全国で4例しか発見されていない上円下方墳である、天文台構内古墳もあります。
その他施設
守衛所、事務棟、研究棟、図書室、データセンター、情報センターなどがあります。福利厚生施設として、売店や食堂、会議室も設置されています。また、研究目的の開発実験を行う実験棟も設置されています。東京大学天文学教育研究センターの本部施設もキャンパス内にあります。
所在地
東京都三鷹市大沢 2-21-1
交通
JR武蔵境駅、京王線調布駅からバスでアクセスできます。
関連項目
教育、研究所、天文台、公開天文台一覧
脚注
国立天文台の各施設、歴史、研究活動に関する詳しい情報は、公式ウェブサイトや関連資料をご覧ください。
外部リンク
国立天文台公式サイト、国指定文化財データベースへのリンクを参考にしてください。
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