国立病院機構呉医療センター

独立行政法人国立病院機構呉医療センター中国がんセンター

独立行政法人国立病院機構呉医療センター中国がんセンターは、広島県の南西部、歴史ある港町として知られる呉市に位置する医療機関です。独立行政法人国立病院機構によって運営されており、中国地方におけるがん診療の基幹施設として、その名称にも「中国がんセンター」を冠しています。

政策医療と高度医療の拠点

当センターは、国が定める政策医療分野において、極めて重要な役割を担っています。特にがん医療では、中国地方全体の基幹施設として、高度ながん診療を提供するとともに、関連医療機関との連携の中心となっています。また、がんだけでなく、循環器病、精神疾患、お子さんの健康に関わる成育医療、内分泌・代謝性疾患、肝疾患といった専門性の高い分野においても、高度な医療を提供しています。これらの機能が集約された結果、当センターは高度総合医療施設として位置づけられています。

地域医療への貢献も大きく、呉市を含む二次保健医療圏における地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携を密にし、中心的役割を果たしています。救命救急センターも設置されており、緊急性の高い患者さんを受け入れる体制を整えています。このように、広島県東部地域において、高度で専門的な医療を提供する重要な拠点の一つとなっています。さらに、エイズ治療拠点病院や広島県の災害拠点病院としての機能も持ち合わせており、特殊な疾患への対応や大規模災害発生時における医療支援など、幅広い政策医療に携わっています。

沿革：呉海軍病院から地域医療の中核へ

当センターの歴史は古く、明治時代に遡ります。1889年（明治22年）7月1日、「呉海軍病院」として創設されたのが始まりです。終戦を迎えた1945年には一時、英豪軍に接収されましたが、1956年（昭和31年）9月14日に接収が解除され、同年10月1日には「国立呉病院」として新たなスタートを切りました。

その後、医療体制の拡充が進められます。1963年（昭和38年）4月1日には附属高等看護学院が開設され、看護師の育成が始まりました。さらに1982年（昭和57年）4月5日には附属リハビリテーション学院も開設され、リハビリテーション専門職の育成にも貢献しました（この学院は2008年3月31日に閉校）。

特定の疾患に対する専門性が高まるにつれて、拠点病院としての指定を受けるようになります。1994年（平成6年）8月25日にはエイズ治療拠点病院に指定され、専門的な治療体制が確立されました。国の行政組織再編に伴い、2001年（平成13年）1月6日には厚生労働省へ移管され、同年4月1日には「国立病院呉医療センター」へと名称が変更されました。

そして、国立病院・療養所の独立行政法人化に伴い、2004年（平成16年）4月1日、独立行政法人国立病院機構へ移管され、現在の正式名称である「独立行政法人国立病院機構呉医療センター中国がんセンター」となりました。その後も、地域における役割は拡大し、2006年（平成18年）8月24日には地域がん診療連携拠点病院に指定され、がん医療における連携体制が強化されました。翌2007年（平成19年）8月27日には、呉二次保健医療圏で2番目となる地域医療支援病院の承認を受け、地域医療連携における中心的な役割を一層深めています。

診療体制とアクセス

当センターは、内科系、外科系、小児科、産婦人科、精神科、感覚器科、救命救急部、緩和ケア科など、多岐にわたる診療科を備え、幅広い疾患に対応できる総合病院としての機能を有しています。総合内科、腎臓内科、循環器科、消化器科、呼吸器科、神経内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科、形成外科、麻酔科、歯科口腔外科など、専門性の高い診療科が連携して患者さんの治療にあたっています。

交通アクセスとしては、JR呉線呉駅から広電バスを利用し、「国立病院」バス停で下車する方法があります。また、呉駅からは無料のシャトルバスも運行されており、通院・来院に便利な手段が提供されています。周辺には入船山公園や学校などがあり、落ち着いた環境に位置しています。

まとめ

独立行政法人国立病院機構呉医療センター中国がんセンターは、長きにわたる歴史の中で、呉海軍病院から地域の中核病院へとその役割を変化させてきました。現在は、中国地方におけるがん医療の基幹施設として、また地域医療支援病院、救命救急センター、災害拠点病院として、高度かつ専門的な医療を多角的に提供する、広島県東部地域の重要な医療拠点です。

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