国道279号

国道279号：北海道函館市から青森県上北郡野辺地町へ至る重要なルート

国道279号は、北海道函館市を起点とし、青森県上北郡野辺地町に至る一般[[国道]]です。函館市から青森県下北郡大間町間は、津軽海峡をフェリーで渡る海上区間となっており、陸路と海路を組み合わせたルートとなっています。青森県内では「まなすライン」の愛称で親しまれ、下北半島を縦断する主要な交通路として機能しています。函館市内では「海峡通」とも呼ばれています。

北海道と本州を結ぶ海上国道

国道279号は、北海道と本州を結ぶ3路線の海上国道の1つです。函館港から大間港までの海上区間は、津軽海峡フェリーが運航する航路を利用します。この区間は国道338号と重複しており、フェリーによる海上輸送と陸路を組み合わせた、ユニークな国道の形態となっています。

下北半島を縦貫する主要ルート

青森県内、特に下北半島においては、国道279号は地域住民の生活や産業を支える重要な交通インフラとなっています。下北半島を縦貫する道路として、国道338号のような狭隘な区間や急カーブ、急勾配が少ないのが特徴です。むつ市から上北郡野辺地町間はJR大湊線と並走し、上北郡野辺地町内では下北半島縦貫道路と並走する区間もあります。交通量も比較的多く、下北半島内での移動において、重要な役割を担っています。国道338号三沢―平沼間の交通量が3.3千台/日、平沼―むつ市間が1.8千台/日であるのに対し、国道279号（横浜―むつ市間）は5.1千台/日と、下北半島内における交通の主要ルートであることが分かります。

自然環境と道路状況

しかし、国道279号は西側に陸奥湾を臨むため、冬季には陸奥湾から吹き付ける強い西風による猛吹雪に見舞われることがあり、通行に支障をきたす場合があります。特に、2012年には大規模な吹雪により、上北郡野辺地町有戸―むつ市近川間で約200台の車が立ち往生する事態が発生しました。

上北郡野辺地町から上北郡横浜町の区間は、「日本風景街道『黄花紅（おうかくれない）の東むつ湾ルート』」に登録されており、美しい景観を有する区間として知られています。関係機関は、訪れる人々を感動させる景観づくりに力を入れています。

歴史と路線データ

かつては「田名部街道」と呼ばれ、盛岡藩の巡察路、函館への経路、そして恐山の参詣路として利用されてきました。1871年（明治4年）の上原和兵衛の旅行記『陸奥紀行』には、野辺地から横浜まで海辺を歩いて移動した様子が記されており、当時の道路事情がうかがえます。

一般[[国道]]としての指定は1970年（昭和45年）4月1日です。その後、大間バイパス（1981年）、大畑バイパス（1987年）、正津川バイパス（1995年）、二枚橋バイパス（2020年）などのバイパス整備が進められ、道路の安全性や利便性の向上に貢献しています。しかし、2021年には台風9号による豪雨で、むつ市内小赤川橋の一部が崩壊し、通行止めとなるなどの災害も経験しています。

路線データは以下の通りです。

起点：函館市（若松町16番7、函館駅前交点）
終点：青森県上北郡野辺地町（松ノ木平交差点）
重要な経過地：青森県下北郡大間町、むつ市、同県上北郡横浜町
総延長：172.6km
* 実延長：153.5km

函館市から大間町間の海上区間

函館市と大間町を結ぶ海上区間は、津軽海峡フェリーによる航路が利用されます。函館側のフェリーターミナルは、国道227号沿いの函館港町にある津軽海峡フェリー函館ターミナルです。

下北半島における道路網の脆弱性

下北半島の道路網は、脆弱であると指摘されています。2021年の豪雨による通行止めでは、迂回路として4つのルートが用意されましたが、いずれも所要時間が2倍以上かかる峠道であり、そのうち3つは冬期閉鎖となるルートでした。

まとめ

国道279号は、北海道と本州を繋ぐ重要なルートであり、下北半島の交通を支える幹線道路です。美しい景観と、厳しい自然環境が共存するこの道路は、地域住民や観光客にとって欠かせない存在となっています。しかし、冬期の天候悪化や災害リスクへの対策は、引き続き重要な課題です。

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