国鉄キハニ36450形気動車

キハニ36450形について

キハニ36450形は、日本国有鉄道の前身である鉄道省が1931年に試作した電気式ガソリン動車です。この車両は、日本車輌製造と川崎車両の2社によって各1両が製造されました。設計には、鉄道省が車体や台車の設計を行い、ガソリンエンジンは池貝製作所が担当しました。また、発電機や電動機、 compress器といった主要機器も各社によって製造されたもので、技術的にも多様性のある一台です。

車体の仕様

キハニ36450形の車体は、半鋼製の20メートル級であり、濃紺色の鉄道省標準品を多く使用しています。車両の窓配置は「d1x3(1)DD(1)12(1)Dd」というユニークなもので、客室座席の配置には、ロングシートと向かい合った固定クロスシートが採用されています。ステップが内蔵された客用扉に加え、運用が想定されている地域の特性に合わせた設計がなされています。

荷物室には約1トンの荷物を収容可能で、蒸気暖房装置が設置されています。この装置は、低出力の発電システムに依存しているため、仕方なく選ばれたものでした。なお、機関室にはエンジンと冷却システムが設置されています。

動力源と機械機器

動力源には、池貝製作所製の大型ガソリンエンジンが使用されています。このエンジンは4サイクルの6気筒構造で、出力は200PSです。特筆すべきは、エンジンの床上に設置されている点で、これにより振動を抑える工夫が施されています。また、冷却は水冷式で、ポンプにより強制的に行われます。

主発電機には芝浦製作所の半密閉式自己通風型DM29が搭載されています。エンジンからの動力を電力に変換し、端子電圧は750V、定格出力は135kWとされています。この発電機は、電動機の出力を安定させるために、他励式界磁を備えています。

主電動機には、三菱電機製のMT26が使用されており、客室側の2軸台車に装架されています。最高速度は95 km/hに設定されていますが、平坦線での個別運転時は最大75 km/hとなります。

ブレーキシステム

具体的なブレーキシステムは、A動作弁を用いた自動空気ブレーキが採用されています。このブレーキシステムは、自動ブレーキ弁を改良し、運転の安定性を増しています。設計段階から科学的な検証が行われており、空気圧縮機と調圧器が搭載されているため、運行時の信頼性が高いです。

運用状況

キハニ36450形は、竣工後米原機関区に配置され、東海道・北陸線の平坦な地点で区間列車として運行されました。重量があるため性能には限界がありましたが、既存技術を流用しているため、運用中の故障は少なかったとのことです。1934年の調査では、燃費が悪く、ガソリン消費量が現在の技術に比べて約3倍とされています。最终的には、1943年には運用が休止され、戦後は通勤用として再利用されることもありましたが、1949年には廃車となり、解体されました。

このように、キハニ36450形はその技術的な意義と運用実績から、日本の鉄道史において重要な位置を占めています。特に、試作車という立場でありながらも、実用的な設計が取り入れられた点が高く評価されています。

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