国鉄キハ44000形気動車

キハ44000形について

概要

キハ44000形は、日本国有鉄道（国鉄）が1952年に導入した電気式気動車で、総括制御の可能なディーゼル動車の試作車として15両が製造されました。この車両は、国鉄の輸送力向上を目指して開発されたもので、複数両の編成が可能な運転方式を実現しました。

開発の歴史

第二次世界大戦後、国鉄ではディーゼル動車が導入され、機械式動力伝達方式が採用されました。1950年には日野ヂーゼル工業製DA55エンジンを搭載したキハ41500形が登場し、続いて1951年にはDMH17エンジンを搭載したキハ42500形が登場しましたが、これらの車両は単独での運転しかできず、複数両の連結運転が困難でした。これにより、輸送量の少ない支線でしか利用されないという制約がありました。

この問題を解消するために、1952年に発電機で得た電力を利用して主電動機を駆動する電気式気動車としてキハ44000形が登場しました。戦前にはキハ43000形の試作実績がありましたが、その運用は短期間で終わっていました。

キハ44000形は、1952年に4両（キハ44000 - 44003）が千葉気動車区に導入された後、1953年にさらに11両（キハ44004 - 44014）が追加されました。また、同年には2扉車のキハ44100形および44200形も投入され、主に九州地区で運用されました。1953年には液体変速機を用いたキハ44500形も登場し、電気式と液体式による総括運転の試行が開始されました。

車両の特性

車体

キハ44000形の車体は、湘南型のデザインを引き継ぎ、非貫通2枚窓の形状を採用しており、初期型は特徴的な裾部分を持っていました。車両の全長は20,000 mmで、幅は2,603 mmです。車体構造は鋼板張りで、雨樋や通風器も設けられており、さらに側窓のデザインは変更が加えられ、バス窓スタイルが採用されました。

座席は軽量化が図られ、シート受けと一体化したプレス構造が使用されています。また、客室の暖房装置も工夫され、運転席からのライトの交換も容易な設計がなされていました。

台車と機器

キハ44000形はDT18型の台車を採用しており、動力台車と付随台車の構造を持っています。最高速度は90 km/hとされ、防振ゴムブロックやオイルダンパーが取り付けられています。機関には水冷ディーゼルエンジン（DMH17A）が使用され、発電機により電力供給される仕組みになっています。

運用の変遷

キハ44000形の試作車は、1952年10月から房総西線で運用開始され、最初は2両編成で、その後ラッシュ時には4両編成で利用されました。1953年にはさらに多くの車両が追加され、より長い区間での運用が可能となりました。1957年の形式称号改正に伴い、初代キハ09形に変更されますが、以降は液体式郵便荷物車へと改造される運命を辿りました。

結論

キハ44000形の登場は、国鉄の輸送力向上に大きく寄与し、ディーゼル動車の進化の一端を担いました。その設計や技術は後の気動車開発や運用においても重要な役割を果たしています。

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