国鉄シサ10形貨車

国鉄シサ10形貨車について

国鉄シサ10形貨車（こくてつシサ10がたかしゃ）は、1967年10月9日に日本国有鉄道に登録されるためにたった1両だけが製造された特異な貨車です。この車両は、主に重量物の輸送を目的とした20トン積みの低床式大物車として設計されました。

車両の特徴

この貨車の全長は12,300 mmで、車体の長さは11,500 mmです。特に注目すべき点は、低床部分の長さが5,100 mmであり、レール面上の高さが695 mmに設定されている点です。この高さは、同時期に多く使用されていたシキ70形貨車と非常に近い数値です。

シサ10形は、特に変圧器の固定に適した設計が施されており、低床部にはそのための専用装置が備わっています。これにより、変圧器を安全かつ迅速に固定できるように配慮されています。固定方法は、変圧器側の固定穴と連結棒を結ぶことで簡単に行える仕組みになっています。この特徴により、シサ10は特大型の輸送ニーズに応えることができる能力を持っていました。

使用されていた台車

シサ10形貨車には、ベッテンドルフ式の2軸ボギー台車であるTR41Cが装備されています。この台車は、貨物を支える安定性と走行性能を確保するために設計されており、長距離の輸送においてもその性能を最大限に発揮できるものでした。

所有と運用

この貨車は、日立製作所によって製造され、その所有権も同社が持っていました。貨車の常備駅は常陸多賀駅であり、この地点を起点に貨物輸送が行われていました。国鉄の貨車としては、このシサ10形は唯一の存在であり、その後の貨物輸送において特異な役割を果たしました。

廃車とその後

シサ10形貨車は、1983年5月16日に廃車となります。生産から実際の使用期間は比較的短かったものの、その独自のデザインと仕様は多くの鉄道ファンや研究者によって注目されています。シサ10形は、昭和の貨物運送業界における一時代の象徴として今なお語り継がれています。国鉄シサ10形貨車は、唯一無二の存在として、日本の鉄道史に名を刻むことになりました。

参考文献

• - 吉岡心平『大物車のすべて 上』（初版）ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 91〉、2007年3月1日。ISBN 978-4-7770-5195-3。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』（初版）日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。

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