国鉄タキ11000形貨車

国鉄タキ11000形貨車の概要

国鉄タキ11000形貨車は、1964年から製造が始まり、主に石油製品の輸送を目的とした35トン積みの専用タンク貨車です。戦後の日本において、国鉄が設計・開発を行い、1987年の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道（JR貨物）が管理することとなりました。タキ11000形以外にも、同時期に製造されたパラフィン専用のタンク車タキ6150形についても解説します。

タキ11000形の特徴

この貨車は、特にC重油などの高比重・高粘度な油種の輸送に適するため、寒冷地向けに設計されています。蒸気加熱管と保温材を持ち、タンク内の温度を保持する工夫がなされています。1964年から1968年の間に、日本車輌製造と三菱重工業の2社で合計137両が製造され、1979年からは化成品分類番号「燃31」を取得しました。これは、燃焼性の物質や引火性液体を示し、一定の危険性を伴うことを示しています。

構造と設計

タキ11000形は、類似のタキ9800形と構造は似ていますが、保温材と台枠を備えている点が異なります。軽量化を図るため、初期の製造（1964年 - 1966年）では高張力鋼が使用され、1967年以降は耐候性高張力鋼が用いられています。タンクはドーム付きで、直円柱形状ですが、中央部は両端よりも太く設計され、その形状は「魚腹型異径胴」と呼ばれています。これにより、タンク内荷物の流動性を確保し、積み卸しを効率よく行えるようになります。さらに、タンク下部には吐出管が設けられ、上入れ・下出し方式で荷役が行われます。

下回りには、台車枕梁が側梁でつながっており、1967年以降に製造された車両では軽量化がされています。使用されている台車はTR41Cで、ブレーキ装置には手ブレーキと空気ブレーキの両方が装備されています。これにより、運行時の安全性が確保され、貨物の取り扱いがスムーズに行われます。

タキ目分類と運用

タキ11000形の中でも、1964年から1968年の間に133両が製作され、さまざまな石油会社によって使用されてきました。製造された各車両は番号が指定され、所有者によって使用されてきました。例えば、タキ11000からタキ11007までは日本石油が所有し、タキ11008からタキ11012は石油荷役などの企業が使用していました。また、同じく1967年には、30トン積のパラフィン専用タンク車タキ6150形が4両製作され、こちらも日本車輌製造によって製造されました。

タキ11000形は主に北海道地域で使用され、時には本州でも活躍しました。これに対してタキ6150形は、根岸駅に常備されており、関西本線や高島線を経由してパラフィンを輸送する運用が行われました。1987年の国鉄分割民営化に際しては、タキ11000形の114両とタキ6150形の4両がJR貨物に継承されましたが、タキ6150形は1999年にはすべて廃車されてしまいました。

まとめ

国鉄タキ11000形貨車は、特に石油類の輸送に特化した設計であり、高い積載効率と安定した運用を確保するための工夫が施されています。現在も一部の車両が残存しているため、鉄道ファンにとっても興味深い対象となっています。

もう一度検索