国鉄タキ35000形貨車

国鉄タキ35000形貨車

国鉄タキ35000形貨車は、1966年から製造が始まった、35t積のガソリン専用タンク車です。この形式は、日本国有鉄道に所属し、1960年代の交通ニーズに応じて開発されました。タキ35000形は、同形状で製造されたタキ45000形の石油類専用タンク車とともに、多くの貨物運送に寄与しました。

概要

タキ35000形は、国鉄が初めて採用した標準設計方式を備えた形式であり、既存のタキ9900形の後継モデルとして設計されました。この方式によって、メーカー間での仕様の統一が図られ、各種の貨車の合理化が進みました。この結果、タキ35000形は軽量化されつつも強度を保ち、大量生産が可能となったため、実用性が高まりました。また、この標準設計は後に多くの派生形式にも応用されています。

構造

タキ35000形の構造は、台枠に耐候性高張力鋼を使用し、軽量化が図られています。車両の全長は12,620mmで、タンク体は葉巻型と呼ばれる形状をしています。また、効率的な積込みのために、マンホールを上部に設け、吐出管を下部中央に配置する「下出し方式」が採用されています。

また、台車には当初TR41C型が使用されましたが、後の製造分では改良型のTR41G型やTR41E型への更新が行われました。ブレーキ装置は自動空気ブレーキが採用され、最高速度は75km/hに設定されています。

形式別概要

タキ35000形

タキ35000形は、1966年8月から1973年10月にかけて、1,108両が製造されました。塗色は黒もしくは青15号で、所有者は多岐にわたり、様々な石油会社により使用されていました。1987年4月の国鉄分割民営化時には、1,091両がJR貨物に引き継がれましたが、2009年には最後の90両が廃車になり、形式消滅しています。

タキ45000形

タキ45000形はタキ35000形の石油類用のバリエーションで、589両が製造されました。こちらの形式は、重油など高比重・高粘度の油種を運ぶために特化しています。1987年4月の時点で479両の車籍がJR貨物に引き継がれましたが、2008年に最後の12両が廃車となり、形式消滅となりました。

他形式への改造

タキ35000形の車両は、他の用途への改造も行われました。例えば、タキ10000形への改造では、高圧蒸気経由での加熱装置が取り付けられました。また、タキ45000形の余剰車からは、エチレングリコール専用のタキ15800形への改造もありました。こうした改造により、タキ風車たちは新たな用途でも活躍することができました。

運用の変遷

タキ35000形は、大量生産により多くの運用に対応し、地域の小規模油槽所への貨物運送でも利用されました。時代が進むにつれて、輸送の効率化や大型化が進み、運行車両の更新が行われていきました。近年では、一部が米軍向けの燃料輸送に使用されるなど、特異な役割を果たすこともありました。

終わりに

タキ35000形は、ガソリン専用タンク車としての一時代を築き上げた重要な形式であり、鉄道運輸史における重要な存在でした。今後もその運用の歴史は、多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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