国鉄チキ80000形貨車

国鉄チキ80000形貨車について

国鉄チキ80000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）において1976年から1980年にかけて製造された、積載能力40tの私有貨車です。この貨車は、長物車として分類され、特定の用途に特化した設計がされています。合計で44両が製造され、その多くは吉沢石灰工業や奥多摩工業によって所有されました。常備駅は最初は奥多摩と浜川崎でしたが、1979年からは神奈川臨海鉄道の水江町駅に移行しました。

製造の背景

この貨車が誕生した背景には、日本鋼管京浜製鉄所への生石灰輸送の課題がありました。京浜製鉄所が移転する際、専用の鉄道が設置されず、効率的な輸送方法が求められました。そこで、生石灰をコンテナに積み替えることによる新たな輸送方式が必要となり、チキ80000形貨車が製造されることとなりました。

車両の特性

チキ80000形は、外観はコンテナ車に似ているものの、特定のコンテナのみを扱うため、法的には長物車として分類されました。この選択には、私有貨車制度における規制が影響しており、その結果、運賃に関する取り扱いが変わり、費用が高くなることを避ける意図がありました。

車両仕様

• - 車体材料: 普通鋼製
• - 全長: 12,000mm
• - 全幅: 2,640mm
• - 全高: 2,117mm
• - 軸距: 7,700mm
• - 自重: 13.5t

また、チキ80000形では四隅にツイストロック式の緊締装置が装備されており、運搬対象の安全な積載が実現されています。製造された車両は、塗装色が黒で揃えられ、目立った特徴となりました。

利用と出荷

1979年には、化成品分類番号「94」がこの貨車に付けられ、有害物質の輸送が明示的に許可されることとなりました。この利用形態は、生石灰の安定した輸送を促進し、効率性を向上させました。

廃止と消滅

1987年の国鉄分割民営化の際、チキ80000形の44両は全てJR貨物に引き継がれましたが、その後すぐに廃車が進み、1988年には奥多摩駅での生石灰輸送が終了しました。これにより、全車両が廃止され、形式自体も消滅となりました。チキ80000形貨車は、その存在が短命であった一方で、鉄道貨物輸送の歴史において重要な役割を果たしました。

製造履歴

チキ80000形の製造は、日本車輌製造のみで行われました。以下が年度ごとの製造数です。

• - 昭和51年度: 24両

- 奥多摩工業：11両
- 吉沢石灰工業：13両

• - 昭和54年度: 6両 (吉沢石灰工業)
• - 昭和55年度: 14両 (吉沢石灰工業)

これらの情報を元に、国鉄チキ80000形貨車の歴史を見つめることができます。この貨車は、昭和の輸送システムの変革の一端を担っており、鉄道輸送の効率化に寄与しました。

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