国鉄デハ6250形電車

デハ6250形電車の概要

デハ6250形は、日本国有鉄道の前身である鉄道院および鉄道省に所属した直流電車です。この電車は、1909年（明治42年）に日本車輌製造によって製造され、国有鉄道初のボギー式電車として知られています。デハ6250形は、甲武鉄道から引き継いだ二軸電車の後継として設計されたもので、当初はホデ1形（1 - 10）という名称で知られていました。しかし、1911年1月1日から施行された鉄道院の車両称号規程に伴いホデ6100形（6100 - 6109）に改称され、その後1913年にナデへ、さらに1914年にはデハ6250形（6250 - 6259）に変わりました。

この形式は鉄道院として最初に独自設計された電車であり、そのため後続の標準型電車とは多くの点で異なる特徴を持っています。例えば、デハ6250形は2,700mmの車体幅を持つ一方、次に製造されたホデ6110形（後のデハ6260形）以降の中央線・山手線用電車の幅は2,500mmでした。この違いは当時の客車と同じ規格を採用した結果とされています。

車体とデザイン

デハ6250形の車体は、16m級の木製構造で、両端に設置された出入り台は開放式で、中央部には運転台があります。出入り台のデザインは、運転手と乗客が交錯しないように考慮されています。前面は大きく湾曲した3枚の固定窓を有し、側面には下降式の窓が設置されています。また、屋根はモニター屋根にされており、通風器は装備されていません。

足回りについては、欧州系の構造を取り入れており、台車も独特の方式を採用しています。主電動機はシーメンス・シュケルト製のD-58W/Dを4基搭載しており、直接式制御装置も同社製です。これにより本形式は重連運転が行われず、1両単独での運転が仕様として採用されています。電気方式は直流600Vで、トロリーポールは前端部分から大きく張り出す形で設置されています。

標準化改造

デハ6250形は、設計段階で他に類を見ない構造を有していたため、製造後早期に改造の対象となりました。1914年から1915年にかけての改造では、出入り台側面に折戸の設置、引戸の撤去などが行われ、翌年には直接式制御器を間接式へと変更し、トロリーポールもモニター屋根上に移設されました。このような改造により、本形式は外観が大きく変わり、1916年に発生した新宿電車庫の火災では5両が焼損され、その後廃車となりました。

その後の運命

1925年には、デハ6250形の一部が目黒蒲田電鉄や阪神急行電鉄に譲渡され、更に転用されました。デハニ6470形への改造も行われ、改良された外観で運用されることとなります。1928年には車両称号規程の改正がなされ、サハ23600形やクケン23100形などに再び改番され、残存した車両は国鉄に長命を保ちました。このように、デハ6250形は日本の鉄道史において重要な役割を果たした電車として今なお語り継がれています。

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