国鉄トラ70000形貨車

国鉄トラ70000形貨車

国鉄トラ70000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）が1967年から製造した17トン積の無蓋貨車です。この貨車は、1940年代から1960年代にかけて製作された長尺物対応のトラ6000形やトラ30000形などの貨車を淘汰するために開発されました。トラ70000形は、1967年から1969年にかけて5,100両が製造され、国鉄が開発した二軸無蓋車の最終形態となりました。

開発背景

トラ70000形貨車は、以前のトラ6000形やトラ30000形に代わる新型無蓋貨車として誕生しました。特に、長尺物対応の半鋼製貨車を更新する目的があり、この新形式は1967年に量産が開始されました。設計は、当時の運送ニーズや予測される物流変化を鑑みたもので、輸送効率を高めるために多くの改良が施されました。その結果、あらゆるタイプの貨物の輸送に対応できる汎用性の高い貨車となりました。

構造と特徴

この貨車の車体は全鋼製であり、トラ30000形と同じ基本寸法を持っています。車体の幅については、社線への乗り入れを考慮した設計になっています。また、妻面やあおり戸にはプレス鋼板が用いられていますが、床面にはトラックやカーブ通過時の積荷の転動を防ぐために、幅方向に4か所木材が埋め込まれています。積載可能な荷重は17トンであり、特定の積載品目に対して制限は設けられていません。

懸架装置には二段リンク式が採用され、速度75 km/hでの営業運転が可能です。ブレーキ装置には自動空気ブレーキに加え、手動で操作できる留置ブレーキも搭載されています。

製作時期による分類

トラ70000形は製作時期によって前期形と後期形に分かれます。前期形は1967年から1968年にかけて4,650両が株式会社汽車製造や日立製作所などで製造されました。一方、後期形は1969年に450両が製造され、その外観は前期形とほぼ同じですが、床面の木材配置が変更されています。この変更により、より頑丈な構造が実現されました。

運用の変遷

トラ70000形は、経年が進んで淘汰が進む中でも、砂利や木材などの輸送に汎用的に活用されました。また、一部の車両は「あおり戸」を取り外し、コンテナ輸送に適応させるために改造されました。1987年の国鉄分割民営化後、JR貨物に一部の車両が引き継がれましたが、その後、輸送手段の変化により使用が減少していきました。

具体的には、JR貨物での最後の使用例は、工業塩の輸送でした。この運用では、特別に製作されたFRP製の容器を搭載し、「塩積専用」との表示がなされていましたが、老朽化に伴い2003年に運用終了となりました。

保存車両と譲渡車両の現状

トラ70000形貨車の中には、改造されて観光用トロッコなどとして使用された車両もあります。例えば、北の大地を走ったトロッコ列車用に改造された車両も存在しましたが、2012年には廃車となりました。また、一部は九州旅客鉄道など各地の運行会社に譲渡され、地域毎の様々な用途に使われることもありました。

まとめ

国鉄トラ70000形貨車は、その歴史的な背景や設計思想、運用の変遷を通じて、日本の鉄道貨物輸送の重要な一翼を担ってきました。数多くのトラ70000形が設計通りに運用され、現在ではその多くが廃車されてしまいましたが、一部の車両は今もなお保存されたり、改造されたりして愛されています。

もう一度検索