国鉄動力車労働組合

国鉄動力車労働組合について

国鉄動力車労働組合（通称：動労）は、旧日本国有鉄道（国鉄）において機関士を中心に構成された労働組合の連合体です。1951年に設立され、国鉄本社運転局の影響を強く受けながら成長し、1980年代には政権の変動や国鉄の民営化を受けて重要な役割を果たしてきました。本組合は日本労働組合総評議会（総評）と国際運輸労連（ITF）に加盟しており、広範な労働者の権利を守るために活動を展開しています。

組合の設立と初期の歴史

国鉄動力車労働組合は1951年5月24日に設立されました。これは国労（国鉄労働組合）内の機関士待遇に対する不満から派生したもので、機関士が一般の駅員よりも優位にあるという自負心が背景にあったとされています。設立以降、組合は機関車乗務員を中心に活動を行い、現場での地位を維持しようとしました。

1958年には国際運輸労連（ITF）にも加盟し、国際的な労働運動とも結びつきを強めました。1959年には名称を国鉄動力車労働組合に改称し、電車運転士などを含む動力車操縦者全般を網羅する方針へとシフトしました。この変更は組合の拡張を狙ったものとされ、組織の幅を広げる意図がありました。

労働運動の進展と「鬼の動労」

動労は当初、穏健な職能組合としてスタートしましたが、やがて内部規律を強化し、組織の拡大に向けた動きを加速させました。1960年代から1970年代にかけては、「泣く子も黙る鬼の動労」と称され、国労以上に先鋭的な活動を展開しました。この時期、動労はマル生運動反対闘争などを積極的に主導し、特に北海道や東京地区での競争力を高めました。

組合内部の派閥と分裂

1959年に国鉄動力車労働組合に改称後、組合内で派閥活動が活発化しました。主流派の同志会と反主流派の政策研究会（政研派）が形成され、次第に政策の違いが露呈することとなります。
政研派はより左派的な立場を取り、組合内青少年部が政研派の影響を強く受けるようになりました。彼らの強い影響力は、組合内での主導権を握る結果となり、1974年には日本共産党系の全動労が結成されるに至りました。

国鉄分割民営化とその影響

動労は1980年代に国鉄分割民営化の流れに直面し、松崎明委員長のもとで雇用を守ることを最優先とする方針を採用しました。これにより、組合は国労と共同して全日本鉄道[[労働組合総連合会]]（鉄道労連）を設立し、民営化された新会社での労働運動で主導権を握ることとなります。民営化後の組合員は、広域配転や不採用の問題に直面しましたが、全体的には新会社において強い立場を保持することができました。

国鉄動力車労働組合は他の労働組合と共に、日本の鉄道労働運動の重要な一翼を担っており、その活動は今なお続いています。

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