国鉄1320形蒸気機関車

1320形蒸気機関車の概要

1320形蒸気機関車は、日本国有鉄道の前身である鉄道院に属したタンク式機関車です。このタイプの機関車は、1906年の鉄道国有法に基づいて買収された九州鉄道から引き継がれ、当時運用されていた特定の車両形態を反映したものでした。具体的には、1320形は車軸配置0-6-0(C)を持ち、単式2気筒の飽和式タンク機関車として当時の鉄道運用に貢献しました。

特徴と歴史的背景

1320形は全4両（1320 - 1323）が製造され、実際には筑豊鉄道が1894年にアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスから輸入した蒸気機関車にその原型があります。これには、筑豊鉄道の20と21型（製造番号14043, 14044）、豊州鉄道の1型（製造番号14069）や、1896年に増備された5型（製造番号14803）が含まれます。1897年に筑豊鉄道、1901年に豊州鉄道が九州鉄道に事業譲渡され、それぞれは新しい形式番号に改められました。

1320形の設計は、外見的には筑豊鉄道の0-8-0(D)タンク機関車（後の鉄道院4030形）と似たところもありましたが、利用シーンは異なりました。国有化後は、主に北九州地域で行橋や鳥栖、大津での入換用として活用されました。

廃車と新たな運命

これら1320形は、1918年には廃車となり、八幡製鉄所に譲渡されました。製鉄所では機関車は80 - 83に改番され、その後314, 315, 393, 394と改められました。1940年頃には動輪以外の部品が新たに製造される大改造が行われ、まったく異なる機関車になりました。その後、1951年から1953年にかけてもさらなる改造が施され、1952年には339, 340, 350, 351に改番されましたが、結局1963年と1964年に廃車の運命を辿りました。

主要諸元

1320形の主要な技術的な数値は、以下の通りです。

• - 全長: 8,827mm
• - 全高: 3,337mm
• - 全幅: 2,438mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-6-0(C)
• - 動輪直径: 1,067mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー（直径×行程）: 356mm×508mm
• - ボイラー圧力: 9.8kg/cm²
• - 火格子面積: 1.2m²
• - 全伝熱面積: 66.1m²
• - ボイラー水容量: 2.35m³
• - 機関車運転整備重量: 33.40t

機関車の性能

この機関車の最大の特徴は、その優れた性能で、シリンダー引張力は5,030kgに達し、運転時の重量バランスも考慮されていました。ブレーキ装置については、手ブレーキと蒸気ブレーキが搭載され、安全性も確保されていました。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 1」
• - 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 I」

このように1320形蒸気機関車は、日本の鉄道史における一時代を象徴する存在であり、技術的にも興味深い部分が多い機関車でした。

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