国鉄205形蒸気機関車

205形蒸気機関車

205形はかつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍したタンク式蒸気機関車です。この機関車は1923年にアメリカのバルカン・アイアン・ワークスによって宇部鉄道向けに製造されました。具体的には製造番号3315と3316の2両が作られ、車軸配置2-4-2(1B1)の特徴を持つ飽和式・2気筒単式のサドルタンク機関車です。特に、運転室から煙室の上にかけて延びるサドルタンクが目を引きます。運転室は鋼製で密閉型であり、背面には石炭庫が設けられています。

バルカン・アイアン・ワークスが製造した機関車は日本国内では非常に稀であり、この205形は国鉄籍を持つ唯一の存在です。そのため、他の私鉄での導入例は少なく、東濃鉄道の初代機関車1両（C形4）が確認される程度です。残りは工場や建設工事用に使われたため、正確な数も不明です。

205形は宇部鉄道の100形（100, 101霊）として運行されていましたが、1943年に同鉄道が戦時買収されたことにより鉄道省へ移管され、その際に205形（205, 206）と改番されました。ただし、現車にはこの番号が実際に表示されることはなく、206(101)は1943年に東芝車両府中工場へ、205(100)は1944年に江若鉄道に譲渡されました。

205形の運命は、206(101)が晩年、据え置きボイラー代用として使用されることになった一方で、205(100)も譲渡後はあまり使用されずに車庫に放置されることとなりました。最終的には1949年に神戸製鋼所に譲渡され、L7として1955年頃まで運用されました。

主要諸元

• - 全長: 8,763mm
• - 全高: 3,454mm
• - 全幅: 2,616mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-4-2(1B1)
• - 動輪直径: 1,016mm
• - 弁装置: スティーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー（直径×行程）: 330mm×457mm
• - ボイラー圧力: 13.0kg/cm²
• - 火格子面積: 1.3m²
• - 全伝熱面積: 47.9m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 43.4m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 4.6m²
• - 小煙管（直径×長さ×数）: 51mm×3,175mm×85本
• - 機関車運転整備重量: 28.80t
• - 機関車空車重量: 23.13t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 20.10t
• - 機関車動輪軸重（各軸均等）: 10.05t
• - 水タンク容量: 3.14m³
• - 燃料積載量: 1.0t

機関車性能

• - シリンダ引張力: 5,290kg
• - ブレーキ装置: 手ブレーキ、蒸気ブレーキ

この機関車は、歴史ある蒸気機関車の中でも独特な存在であり、日本の鉄道史を知る上で貴重な資料といえるでしょう。

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