国鉄70形蒸気機関車

70形タンク式蒸気機関車の概要

70形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が所持していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、新宮鉄道の形式3として1925年に製造され、1934年に国有化された際に70形という形式番号が与えられました。国有化された関係で、70形は鉄道省に所属することとなりますが、特筆すべき点は、その製造国と独自の仕様です。

製造と仕様

この機関車は、1912年にドイツのアーノルト・ユンクで製造されたもので、車軸配置は0-4-0(B)の飽和式・2気筒単式のウェルタンク式です。ユンク製の蒸気機関車は日本で非常に少なく、国有鉄道に直接関わった例は珍しいです。

70形は、デザインが機能本位で端正な印象を与え、特にランボード中央に設けられた給水用の漏斗が特徴的です。また、新宮鉄道は完全に孤立した路線であったため、国有化後も連結器は従来の螺旋式のままとなりました。これにより、他の路線との連絡が無かった新宮鉄道においては、特異な歴史を持つ機関車であると言えます。

廃車とその後

国有化に伴い、形式番号70が付与されたものの、実際にこの番号が機関車に記載されることはありませんでした。1936年には廃車となってしまい、その短い運用期間を終えました。このような珍しい経歴を持つ70形は、鉄道愛好家の間で特別な存在となっています。

主要諸元

以下は70形の主要な諸元です：

• - 全長: 6,044mm
• - 全高: 3,096mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-4-0(B)
• - 動輪直径: 910mm
• - 弁装置: ワルシャート式
• - シリンダー（直径×行程）: 241mm×361mm
• - ボイラー圧力: 12.0kg/cm²
• - 火格子面積: 0.46m²
• - 全伝熱面積: 19.4m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 17.2m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 2.2m²
• - 小煙管（直径×長サ×数）: 38mm×2,286mm×77本
• - 機関車運転整備重量: 13.21t
• - 機関車空車重量: 11.33t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 13.21t
• - 機関車動輪軸重（第1動輪上）: 6.6t
• - 水タンク容量: 1.8m³
• - 燃料積載量: 0.58t
• - シリンダ引張力 (0.85P): 2,320kg
• - ブレーキ方式: 手ブレーキ、蒸気ブレーキ

このように、70形は日本の鉄道史において重要な位置を占める機関車であり、今なお多くの鉄道ファンに愛されています。今後、70形のようなユニークな蒸気機関車の再評価が進むことを期待されます。

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