国鉄7200形蒸気機関車

7200形蒸気機関車

7200形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院、鉄道省に在籍した蒸気機関車です。鉄道国有法によって北海道炭礦鉄道と北海道鉄道（2代）から引き継がれた2種類の機関車が、同じ形式名を与えられています。しかし、両者には外観、構造、性能に大きな違いがあり、特に後者は別形式とするのが妥当とも言えるほどです。

本稿では、便宜的に前者を「第1種」、後者を「第2種」と呼び、それぞれの詳細について解説します。

第1種（7200 - 7224）

概要

第1種は、北海道炭礦鉄道が7170形の使用実績を基に、アメリカのボールドウィン社で製造した改良版です。1890年から1897年にかけて、計25両が輸入されました。

導入当初はC形、後にロ形と呼ばれたグループと、F形、後にホ形と呼ばれたグループに分かれていましたが、最終的にはすべてホ形に編入されています。

製造年次と製造番号、車両番号は以下の通りです。

1890年（4両）：11 - 14（製造番号11203 - 11206）
1891年（6両）：19 - 24（製造番号12063, 12069, 12076, 12080, 12081, 12083）
1894年（2両）：28, 29（製造番号13969, 13970）
1896年（5両）：33 - 37（製造番号15024 - 15027, 15073）
1897年（8両）：39 - 46（製造番号15145 - 15150, 15164, 15165）

構造

メーカー規格は8-22Dで、車軸配置は2-6-0(1C)形。ボイラー火室が第2・第3動輪間に配置されているのが特徴です。ボイラーはワゴントップ形、蒸気ドームは火室上にあります。テンダー（炭水車）はボギー台車2個を備えた4軸式です。

1890年製の車両はダイヤモンド形の大型煙突を装備していましたが、後にストレート形のパイプ煙突に改装されました。

主要諸元

全長：13,519mm
全高：3,708mm
軌間：1,067mm
車軸配置：2-6-0(1C)
動輪直径：1,067mm
弁装置：スチーブンソン式アメリカ形
シリンダー（直径×行程）：356mm×457mm
ボイラー圧力：9.9kg/cm2
火格子面積：1.06m2
全伝熱面積：69.4m2
機関車運転整備重量：26.27t
炭水車運転整備重量：14.89t
水タンク容量：4.7m3
燃料積載量：2.84t
シリンダ引張力：3,880kg (11 - 14)

経歴

北海道炭礦鉄道の主力機として活躍し、国有化後は北海道各地で使用されました。1923年頃からは入換用や建設事務所への貸し出しが多くなり、一部は民間鉄道へ譲渡されました。太平洋戦争後まで残存した車両もありましたが、1946年に全車除籍されています。

譲渡

1919年以降、以下の12両が民間鉄道へ譲渡されました。

7201：常総鉄道（タンク機関車に改造）
7205：寿都鉄道
7211：北見鉄道（後に外地へ売却）
7212：雄別炭礦鉄道
7216：樺太庁鉄道 → 鉄道省（戦後不明）
7218：北見鉄道（後に外地へ売却）
7219：樺太庁鉄道 → 鉄道省（戦後不明）
7220：定山渓鉄道
7221：雄別炭礦鉄道 → 運輸工業専用線
7222：雄別炭礦鉄道
7223：定山渓鉄道 → 寿都鉄道
7224：定山渓鉄道 → 寿都鉄道

第2種（7225 - 7227）

概要

第2種は、北海道鉄道（2代）が1925年にボールドウィン社で製造した3両です。1943年の戦時買収により鉄道省籍となりました。第1種とは全く異なる設計で、メーカー規格は8-28D。旧九州鉄道の8000形や旧鉄道作業局の8100形と同クラスです。日本に輸入されたボールドウィン製蒸気機関車としては最後期のものに当たります。

北海道鉄道では7 - 9と名付けられました。

構造

ボイラーはストレートトップ形、蒸気ドームは第2缶胴上にあります。車軸配置は2-6-0(1C)ですが、第1種のような特徴的な動輪配置は見られません。機関車自体も大型です。

主要諸元

全長：16,230mm
全高：3,842mm
軌間：1,067mm
車軸配置：2-6-0(1C)
動輪直径：1,219mm
弁装置：ワルシャート式
シリンダー（直径×行程）：432mm×556mm
ボイラー圧力：12.0kg/cm2
火格子面積：1.5m2
全伝熱面積：98.7m2
機関車運転整備重量：39.98t
炭水車運転整備重量：26.09t
水タンク容量：9.9m3
燃料積載量：5.8t
シリンダ引張力：8,730kg

経歴

国有化後は小樽築港に転属し、入換用として使用されました。1948年に廃車。7225は日曹炭鉱天塩砿業所に貸し渡された後、7228に改番されて使用されましたが、理由は不明です。同機は1958年に廃車となりました。

参考文献

臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
金田茂裕「日本蒸気機関車史 官設鉄道編」1972年、交友社刊
金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 III」1985年、機関車史研究会刊
川上幸義「私の蒸気機関車史　上」1978年、交友社刊
* 高田隆雄監修「万有ガイドシリーズ12　蒸気機関車 日本編」1981年、小学館刊

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