国鉄7270形蒸気機関車

7270形蒸気機関車

7270形蒸気機関車は、鉄道院（後の日本国有鉄道）に在籍したテンダ式蒸気機関車です。元は北海道官設鉄道が、アメリカのブルックス・ロコモティブ・ワークスから輸入し、後に汽車製造で模倣製造されました。

概要

1900年（明治33年）10月にブルックス・ロコモティブ・ワークスから4両が輸入され、1905年（明治38年）に汽車製造で2両が製造されました。車軸配置は2-6-0(1C)で、単式2気筒の飽和式機関車です。

1905年の北海道官設鉄道国有化に伴い、国有鉄道籍となりました。北海道官設鉄道時代は、ブルックス製がB3形（13 - 16）、汽車製造製がB8形（36, 37）と称しました。国有化後は、旧B3形がEd形、旧B8形がEf形と改称されました。

1909年（明治42年）の鉄道院車両形式称号規程制定により、7270形（7270 - 7275）に改番されました。汽車製造製の2両は、当初7500形（7506, 7507）と誤って改番されましたが、すぐに訂正されました。

形態

形態は典型的なアメリカ古典機スタイルで、運転室の屋根や炭水車上辺などにブルックス製の特徴があります。ボイラーはワゴントップ式で、第1缶胴上に砂箱、第2缶胴上に蒸気ドームが設置されています。

汽車製造製はブルックス製の完全な模倣機であり、ブレーキ装置がブルックス製は真空式、汽車製造製は空気式である点が主な違いです。また、煙突と砂箱の間に鐘を装備した関係で、砂箱の位置がやや後退しています。炭水車の台車は3軸片ボギー式で、ボギー台車は釣合梁式です。

運用

使用成績は良好で、北海道官設鉄道では全線で使用されました。国有鉄道編入後は、池田、野付牛、中湧別、室蘭などで使用され、晩年は入換用として函館で使用されました。1935年（昭和10年）1月に全車が廃車となりましたが、1940年（昭和15年）に2両（7270, 7271）が北海道製糖（後の日本甜菜製糖）に払い下げられました。当初は2両とも同社の磯分内工場で使用され、後に7270は美幌工場に移りました。7275は、1921年（大正10年）に十勝鉄道に貸し出されたことがあります。

主要諸元

全長: 13,887mm
全高: 3,537mm
最大幅: 2,438mm
軌間: 1,067mm
車軸配置: 2-6-0(1C)
動輪直径: 1,067mm
弁装置: スチーブンソン式アメリカ形
シリンダー（直径×行程）: 381mm×457mm
ボイラー圧力: 11.3kg/cm2
火格子面積: 0.99m2
全伝熱面積: 88.5m2
煙管蒸発伝熱面積: 81.2m2
火室蒸発伝熱面積: 7.3m2
ボイラー水容量: 2.5m3
小煙管（直径×長サ×数）: 45mm×3,048mm×191本
機関車運転整備重量: 31.40t
機関車空車重量: 28.76t
機関車動輪上重量（運転整備時）: 27.23t
機関車動輪軸重（第2動輪上）: 10.16t
炭水車運転整備重量: 22.96t
炭水車空車重量: 12.47t
水タンク容量: 8.2m3
燃料積載量: 2.48t
シリンダ引張力: 5,920kg
* ブレーキ装置: 手ブレーキ、真空ブレーキ

その他

汽車製造として初のテンダー機関車であり、棒台枠や空気制動機など初めての要素が多く含まれていました。特に棒台枠の製作には苦労し、アメリカから輸入したブルーム（大型の鋼片）に亀裂が生じたため、テルミット溶接を試みたところ台枠が切断されてしまいました。再度テルミット溶接をやり直し、接合させて台枠を完成させました。

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