国鉄7350形蒸気機関車

7350形蒸気機関車

7350形蒸気機関車は、かつて鉄道院、鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車です。元は北海道官設鉄道が1902年（明治35年）にアメリカのロジャーズ・ロコモティブ・ワークスから6両を輸入した、車軸配置2-6-0(1C)の飽和式機関車でした。

導入の経緯

1901年（明治34年）6月、北海道官設鉄道は機関車6両を含む鉄道用品の入札を告知しました。同年4月にニューヨーク支店を開業したばかりの大倉組は、この入札を受注するため各機関車メーカーに見積もりを依頼しました。当時のアメリカの主要メーカーはアルコ、ボールドウィン、ロジャースでしたが、アルコは前身のスケネクタディが三井物産と、ボールドウィンもフレーザー商会と取引があったため、見積もりを取ることができませんでした。そこで残ったロジャースから見積もり金額を得て入札し、大倉組は機関車、車輪、車軸、弾機を落札しました。納期は旭川渡しで1902年2月（4両）、4月（2両）でしたが、アメリカのメーカーがどこも繁忙で納期が延び、延滞金が発生する恐れがありました。しかし、ストライキが発生したことを理由に、納期はすべて6月まで延長されました。

国有化と形式称号

1905年の北海道官設鉄道の国有鉄道への編入に伴い、本形式も国有鉄道籍となりました。北海道官設鉄道時代はB4形（17 - 22）と称していましたが、鉄道作業局編入後はEe形と称しました。1909年（明治42年）の鉄道院の車両形式称号規程制定に伴い、7350形（7350 - 7355）と改番されました。

車両の形態

形態的には典型的なアメリカ古典機のスタイルです。ボイラーはワゴントップ式で、第1缶胴上に砂箱、第2缶胴上に蒸気ドームが設置されています。炭水車の台車は3軸片ボギー式で、ボギー台車は釣合梁式です。

配置と運用

北海道官設鉄道では旭川に配置され、官設鉄道編入後は中湧別、落合、下富良野に移動しました。晩年は入換用となり、全車が手宮で使用されていました。

廃車

廃車は1937年（昭和12年）12月で、全車が解体されました。

主要諸元

全長: 13,989mm
全高: 3,632mm
最大幅: 2,438mm
軌間: 1,067mm
車軸配置: 2-6-0(1C)
動輪直径: 1,067mm
弁装置: スチーブンソン式アメリカ形
シリンダー（直径×行程）: 381mm×457mm
ボイラー圧力: 11.3kg/cm2
火格子面積: 1.33m2
全伝熱面積: 89.4m2
煙管蒸発伝熱面積: 81.9m2
火室蒸発伝熱面積: 7.5m2
ボイラー水容量: 3.4m3
小煙管（直径×長サ×数）: 45mm×3073mm×191本
機関車運転整備重量: 35.83t
機関車空車重量: 32.21t
機関車動輪上重量（運転整備時）: 30.84t
機関車動輪軸重（第2動輪上）: 11.02t
炭水車運転整備重量: 23.47t
炭水車空車重量: 11.86t
水タンク容量: 9.5m3
燃料積載量: 2.52t
シリンダ引張力（0.85p）: 5,920kg
ブレーキ装置: 手ブレーキ、真空ブレーキ

参考文献

臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 III」1985年、機関車史研究会刊
* 沖田祐作「機関車表 国鉄編I」レイルマガジン 2008年9月号付録

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