国鉄7650形蒸気機関車

7650形蒸気機関車について

7650形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局、鉄道院、鉄道省で使用されていたテンダ式蒸気機関車です。この機関車は、明治時代にアメリカのブルックス・ロコモティブ・ワークス社によって1897年に製造されました。元々、関西鉄道が鈴鹿山脈の勾配区間での運用を目的として3両が作られ、その後国有化されて運用されました。

製造の背景

7650形は、関西鉄道において「鬼鹿毛（おにかげ）」の名で親しまれ、製造番号2775から2777までの3両が存在します。関西鉄道ではそれぞれに23形から25形という番号が振られていますが、製造番号とは必ずしも一致していませんでした。1909年には鉄道院の車両形式称号規程に基づいて7650形として再番号付けされました。

この機関車は、アメリカ古典機スタイルを模した形態を持ち、特に運転室は木製で、大きな空間を有しています。しかし、残念ながら内部はボイラーの火室でほとんどが占められ、運転士は炭水車の上から直接炭を投入するスタイルが採られていました。炭水車は4軸のアーチバー式ボギー台車を備えており、当時の運行に必要な重量と負荷を十分に支える設計となっています。

運用の歴史

国有化の後、7650形は北海道に配置され、名寄や音威子府での運用を担っていました。しかし、運用が進むにつれてその運用頻度は減少し、大正末期には休車となってしまいました。3両とも、1927年1月には廃車処分となり、残念ながら払下げや保存もされなかったため、現在残っているものはありません。

主要諸元

7650形の詳細な諸元は以下の通りです。

• - 全長: 13,602mm（連結器交換前の組立図では13,640mm）
• - 全高: 3,581mm
• - 全幅: 2,286mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-6-0 (1C)
• - 動輪直径: 1,219mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー（直径×行程）: 406mm×559mm
• - ボイラー圧力: 11.6kg/m²
• - 火格子面積: 1.58m²
• - 全伝熱面積: 101.8m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 90.9m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 10.9m²
• - ボイラー水容量: 4.5m³
• - 小煙管（直径×長さ×数）: 51mm×2,821mm×202本
• - 機関車運転整備重量: 33.87t
• - 機関車空車重量: 33.83t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 33.96t
• - 機関車動輪軸重（第3動輪上）: 12.17t
• - 炭水車重量（運転整備）: 25.56t
• - 炭水車重量（空車）: 14.53t
• - 水タンク容量: 10.2m³
• - 燃料積載量: 1.69t

また、運転性能においては、シリンダ引張力が8,440kgあり、ブレーキ装置には手ブレーキと真空ブレーキが装備されていました。

結論

7650形は日本の蒸気機関車史の中でも特別な存在であり、その形状や運用方法は今も多くの鉄道ファンからの興味を集めています。現在この機関車は現存しないものの、その性能や魅力についての記録は脈々と受け継がれています。

もう一度検索