国鉄C50形蒸気機関車

C50形蒸気機関車

C50形蒸気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が製造した旅客列車牽引用のテンダー式蒸気機関車です。「シゴマル」、「シゴレ」という愛称で鉄道ファンに親しまれていました。

構造

車軸配置2-6-0 (1C) 型で、1929年（昭和4年）から1933年（昭和8年）にかけて154両が製造されました。8620形をベースに、空気ブレーキや給水加熱器を標準装備し、近代化が図られました。しかし、8620形で採用された島式心向キ台車は採用されず、エコノミー式となったため、曲線通過性能は低下しました。また、装備が増えたことで重量が増加し、牽引力は増したものの、軸重が大きくなり、8620形ほどの汎用性は失われました。

C50 68以降の2次形では、動輪軸重バランス改善のため、動輪全体を200mm後退させる設計変更が行われています。

製造

三菱造船所、汽車製造、川崎車輛、日本車輌製造、日立製作所の5社で154両 (C50 1 - 154) が製造されました。鉄道省向けだけでなく、樺太庁鉄道向けにも4両が製造され、1943年（昭和18年）の南樺太の内地化に伴い鉄道省籍に編入、C50 155 - 158となりました。

1929年：C50 1 - 66, 68 - 96（95両）
1930年：C50 67, 97 - 142（47両）
1931年：C50 143 - 145（3両）
1932年：C50 146 - 152（7両）
* 1933年：C50 153, 154（2両）

樺太庁鉄道8650形

樺太庁鉄道に納入された鉄道省C50形の同形機です。鉄道省C50形の後期形とほぼ同じですが、耐寒構造の密閉式運転台が特徴です。空気制動機を装備していないため、元空気溜め部分のランボードの段差がなく、一直線で後半部分がわずかに下がっています。

1930年（昭和5年）に汽車製造と川崎車輛で計4両が製造されました。当初は8650形 (8650 - 8653) と称しましたが、後に鉄道省に準じてC50形 (C50 1 - 4) に改められました。1943年には鉄道省に編入され、C50 155 - 158となりましたが、日本の敗戦とともにソ連に接収され、消息は不明です。

運用

戦前は地方の旅客列車や小単位貨物列車など、軽量な列車の牽引に使用されました。牽引力は比較的高いものの、重量があるため8620形よりも取り回しが悪く、テンダーに設置された給水加熱器の不調や、簡略化された先輪の構造による脱線も多かったようです。C58形の増備とともに、戦前の時点で第一線を退き、入換用となるものが多くなりました。

1941年（昭和16年）には、C50 1 - 5が軍の要請により供出され、海南島に送られる予定でしたが、台湾に降ろされ、台湾総督府鉄道で使用されました。太平洋戦争後にこれらを引き継いだ台湾鉄路管理局ではCT230型 (CT231 - 235) となり、入換用として1960年代末まで使用されました。

本土に残ったC50形は、戦災で2両が廃車。1947年（昭和23年）には147両が在籍していました。配置区は全国に広がっていましたが、かなりの数が入れ換え用となっていました。

1955年（昭和30年）3月末には144両が残っていましたが、中型ディーゼル機関車の実用化に伴い数を減らし、1970年（昭和45年）3月末には42両となっていました。営業用としては1968年（昭和43年）の両毛線が最後で、最終廃車は1974年（昭和49年）8月のC50 36でした。民間に払い下げられたものはなく、C12形とともに梅小路蒸気機関車館（現・京都鉄道博物館）の保存対象からも外されました。

保存機

1次形（C50 1 - 67）は保存されておらず、2次形に属する6両が現存しています。鉄道博物館等には保存されておらず、自治体に貸与され公園・公共施設等に静態保存されています。

また、132号機の動輪（片側）が、広島県庄原市西城町にあるJR西日本の芸備線備後西城駅前に、鉄道100周年を記念したモニュメントとして展示されています。

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