国鉄EF62形電気機関車

国鉄EF62形電気機関車

国鉄EF62形電気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）が設計した直流用の電気機関車であり、特に信越本線の碓氷峠を越える区間の運行のために開発されました。本形式は特別な設計が施され、急勾配の条件下での信頼性と性能を重視しています。

概要

EF62形は、1962年に先行試作車のEF62 1が完成し、その後1963年から1969年までに53両が量産されました。この機関車は、最大66.7‰の急勾配を持つ信越本線横川 - 軽井沢間を直通する列車の牽引を主な役割としています。そのために特別な設計が施され、優れた牽引力と運行の安定性を兼ね備えています。

背景

信越本線碓氷峠区間は、日本の幹線鉄道の中で特に急な勾配であり、機関車の性能に挑戦をもたらす地域でした。アプト式と呼ばれる補助レールを必要とする機関車が使用されていましたが、それでは輸送力が不足しているため、EF62のような新しい機関車の開発が急務とされました。

1956年に作成された「碓氷白書」では、アプト式による運行の限界が指摘され、通常の軌道での粘着運転の実現が提案されました。国鉄はこの改善策に従って、最適な選択肢を調査し、EF62形の開発に取り組みました。

構造

EF62形の特徴的な点は、貫通式運転台が採用されていることです。運転台の窓はパノラミックウィンドウとして設計されており、運転に適した視界を提供します。軽量化にも配慮されており、屋根には繊維強化プラスチック（FRP）が使用されています。

その走行機器は、協調運転を可能にするためにEF63と共通の構造を持っており、最新の電動カム軸制御器を採用し、トルクの安定を図っています。また、発電ブレーキも装備され、緊急時にも優れた制動力を発揮します。

台車はCo-Co配置の3軸ボギー台車で、軽量化と輪重移動の抑制に重点が置かれています。この台車により、急勾配での安定した走行が実現されています。

運用と歴史

EF62形は、当初から信越本線の運行に利用され、特に急行列車や貨物列車の牽引で活躍しました。その性能により、アプト式と比較して格段に運行時間を短縮でき、輸送定数も増加しました。

しかし、1970年代には運行形態が変化し、動力近代化計画や新幹線の開業に伴い、EF62形の活躍の場は徐々に減少していきました。最終的には、1997年まで運用されましたが、多くの車両が廃車され、その歴史に幕を下ろしました。

保存と遺産

現在、EF62形は廃車とされるものの、その技術と設計の影響は後続機関車に引き継がれています。今後も国鉄EF62形の存在は、日本の鉄道史における重要な技術革新の象徴として記憶されるでしょう。

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