国防省 (朝鮮民主主義人民共和国)

北朝鮮国防省について

北朝鮮の国防省（朝鮮語：국방성）は、朝鮮民主主義人民共和国における軍事行政を統括する官庁です。その役割と組織について解説します。

組織と役割

国防省は内閣ではなく、金正恩委員長が率いる国務委員会に所属しています。その主な機能は、人事、軍事外交、軍事司法といった軍政に限定されています。かつては傘下機関であった朝鮮人民軍総政治局や総参謀部と比較すると、国防省の役割は縮小傾向にあり、人民武力相や人民武力部長といったポストは、総政治局長や総参謀長に比べて権力の中枢から遠ざかっていると見られています。

歴史

北朝鮮における国防省の起源は、1948年9月に設置された民族保衛省に遡ります。1972年の憲法改正により、民族保衛省は人民武力部へと格上げされました。さらに、1998年9月には最高司令官命令と憲法改正を経て、人民武力部から人民武力省へと再び格下げ・改称されました。

2000年9月には、ソウルで開催された南北国防長官会談において、北朝鮮代表が人民武力相ではなく人民武力部長の肩書きで参加したことから、人民武力省が再び人民武力部に改称されていたことが判明しました。しかし、2016年6月29日の第13期最高人民会議第4回会議で、再び人民武力省へと格下げされ、トップの役職も人民武力部長から人民武力相へと変更されました。そして、2020年に人民武力省から現在の国防省へと名称が変更されました。

組織構造の変遷

過去の人民武力部時代には、総政治局、総参謀部、後方総局、保衛司令部の4大機関に加え、対外事業局、警務局（憲兵）、軍事裁判局、軍事検察局など、複数の直属局が存在しました。2009年には偵察総局が新設され、総政治局、総参謀部、偵察総局が人民武力部の主要機関となりました。

現在の国防省の主要組織は以下の通りです。

総政治局
総参謀部
偵察総局
後方総局
保衛司令部
幹部局
軍事裁判所
軍事検察局
警務局
対外事業局

歴代の長

北朝鮮の軍政機関の長の職名は、時代によって変遷しています。初期は民族保衛相（1948年9月）、その後、人民武力部長（1972年12月）、人民武力相（1998年9月）、再び人民武力部長（2000年9月）、人民武力相（2016年6月）を経て、2020年11月からは国防相となっています。

歴代の長官は以下の通りです。

1948年9月 - 1957年9月：崔庸健
1957年9月 - 1962年10月：金光侠
1962年10月 - 1968年12月：金昌奉
1968年12月 - 1976年5月：崔賢
1976年5月 - 1995年2月：呉振宇（1987年に総参謀長呉克烈が武力部長を代行）
1995年10月 - 1997年2月：崔光
1997年2月 - 2009年2月：金鎰喆
2009年2月 - 2012年4月：金永春
2012年4月 - 2012年10月：金正覚
2012年10月 - 2013年5月：金格植
2013年5月 - 2014年6月：張正男
2014年6月 - 2015年4月：玄永哲
2015年4月？ - 2018年5月：朴永植
2018年5月 - 2019年12月：努光鉄
2019年12月 - 2021年6月：金正官
2021年6月 - 2022年12月：李永吉
2022年12月 - 2024年10月：強純男
2024年10月 - 現職：努光鉄

関連項目

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