国際電話 (企業)

国際電話株式会社とは

国際電話株式会社は、国際通話や船舶通話サービスを主な事業として設立された会社です。1900年代初頭には、海底ケーブルを用いた国際電話の実用化は技術的に困難でしたが、短波を利用した無線電話技術の発明により、1927年にアメリカとイギリス間で初の国際無線電話サービスが開始されました。この流れを受け、日本でも国際電話事業を創設する機運が高まり、1932年12月に国際電話株式会社が設立されました。

設立の背景と事業内容

設立時の資本金は1,000万円でした。会社設立にあたっては、特別法の制定が必要かどうかが議論されましたが、政府の現物出資がないこと、1915年制定の無線電信法第2条に基づいて設立が許可されました。無線電信法第1条には「無線電信及び無線電話は政府が管掌する」という規定があり、無線電話の交換や中継業務は政府が行うこととされていました。そのため、国際電話株式会社は、国際通話、対船舶通話、および無線電話設備の建設と、その設備を政府に提供することを主な業務としていました。同社の事業収入は、通信量に応じた設備使用料を政府から受け取る形でした。

国際通話サービスの拡大

1934年9月にはマニラ、12月にはサンフランシスコとの国際電話サービスが開始され、その後、通話可能な地域は拡大しました。1937年には、ほぼ全世界の主要地域との通話が可能となり、国際的なコミュニケーションを支える重要な役割を果たしました。また、1936年には、太平洋航路（ハワイ経由サンフランシスコ）に就航していた秩父丸に短波無線電話装置が設置され、船舶との無線通話サービスも開始されました。

沿革

1932年（昭和7年）：国際電話株式会社設立。
1933年（昭和8年）：名崎送信所開設。
1934年（昭和9年）：小室受信所開設。
1938年（昭和13年）：日本無線電信株式会社と合併し、国際電気通信株式会社に業務承継。

関連事項

日本無線電信株式会社
国際電気通信株式会社
海底ケーブル
無線通信

参考文献

* 『KDD総研R＆A 9月号』国際電信電話株式会社、1995

国際電話株式会社は、無線通信技術の黎明期における国際通信の発展に大きく貢献した企業であり、その設立と事業展開は、当時の通信インフラ整備において重要な役割を果たしました。

もう一度検索