国際電気通信

国際電気通信株式会社（KDTK）とは

国際電気通信株式会社（Kokusai Denki Tsushin Kabushiki Kaisha、略称KDTK）は、かつて存在した日本の特殊会社です。1938年、国際電気通信株式会社法の成立に伴い、日本無線電信株式会社と国際電話株式会社が合併して設立されました。KDTKは、国際無線電信、国際無線電話、国際海底線電話の設備建設と保守を主な業務としていました。

設立の背景

1937年、帝国議会において、逓信大臣の児玉秀雄を委員長とする委員会で、日本無線電信株式会社法の改正案が審議されました。児玉は、海外無線電信事業の急速な発展と、無線通信技術の進歩に伴い、無線電信と無線電話の一体的な整備が急務であると説明しました。また、国際的な地位向上に伴い、海外通信の合理化が不可欠であると述べました。

その上で、日本無線電信株式会社と国際電話株式会社に対し、合併を勧誘したところ、両社が政府の方針に賛同したため、合併準備に至ったと説明しました。また、合併後の会社名を国際電気通信株式会社とすること、事業内容に海底電信設備の建設・保守を加えることが提案されました。

質疑応答では、政府がKDTKを国有化するのかとの質問に対して、児玉は、国際交渉を円滑に進めるためには民間会社の方が望ましいとの考えを示し、政府が全面的に事業を取り上げる考えはないと回答しました。

これらの審議を経て、国際電気通信株式会社法案は可決され、1938年にKDTKが設立されました。

事業の拡大

KDTKは、設立当初から対外無線電信電話の設備建設・保守を担い、その設備を政府に提供することで収入を得ていました。電信電話の運用は政府が行っていました。

1939年には、国際電気通信株式会社法が改正され、事業内容が拡大されました。当時の司法大臣兼逓信大臣であった塩野季彦は、電気通信施設の重要性を強調し、満州や中国との連携を強化するため、日満支間の電気通信連絡を整備する必要性を訴えました。

改正の主な点は、以下の3点です。

1. 有線通信路（通信ケーブル）の建設・保守業務の追加。
2. 政府による出資と民間出資に対する優先配当、及び会社に対する税制優遇措置の実施。
3. 会社に対する政府の監督権強化。

改正により、KDTKは、有線通信路の建設・保守に加え、海外での電気通信事業の経営、設備の貸与、建設・保守の請負、通信用品の製造・販売も行うことになりました。これにより、KDTKは総合的な電気通信会社としての地位を確立しました。

狛江工場の建設

事業拡大の一環として、KDTKは1940年に狛江村（現在の東京都狛江市）に広大な土地を購入し、工場を建設しました。この工場では、対外無線機が製造され、戦時下の通信インフラ整備に大きく貢献しました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、1948年11月10日、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の指令により、KDTKは解散を命じられました。通信部門は電気通信省に、機器部門は1949年に設立された国際電気に吸収されました。KDTKの歴史は、日本の電気通信事業の発展と戦争の影を色濃く映し出すものと言えるでしょう。

沿革

1937年：国際電気通信株式会社法制定。
1938年：国際電気通信株式会社設立（日本無線電信株式会社・国際電話株式会社合併）。
1939年：国際電気通信株式会社法改正。業務範囲を拡大。
1940年：国際電気通信株式会社狛江工場開業。八俣送信所開設。
1945年：ポツダム宣言受諾。
1947年：国際電気通信株式会社、GHQ指令により解散。国際電気通信株式会社法廃止。
1947年：国際電気通信株式会社の施設(一部を除く)・業務・職員は逓信省に移管。
1948年：国際電気通信株式会社狛江工場は電元工業株式会社（現：新電元工業株式会社）となり、翌年独立し国際電気株式会社となる。

関連項目

日本無線電信株式会社
国際電話株式会社
逓信省
国際電信電話株式会社
電気興業株式会社
海底ケーブル
無線通信
光電製作所

参考文献

* 『KDD総研R&A 9月号』国際電信電話株式会社、1995

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