国際香粧品香料協会

国際香粧品香料協会（IFRA）

国際香粧品香料協会（International Fragrance Association、略称：IFRA）は、香粧品香料業界全体の利益を守り、香料の安全性を保持することを目的とした国際的な団体です。香粧品や香料に関わる企業が参加し、協力して様々な活動を行っています。

歴史

この協会は、1960年代に香粧品香料が皮膚に影響を及ぼすことが懸念されたことから生まれました。特に、日本の香料企業の呼びかけに応じて、多くの国の香料業界関係者が集まり、1973年にスイス・ジュネーヴで設立されました。現在、事務局はベルギーのブリュッセルに置かれています。

構成メンバー

IFRAは、正会員としての国際企業8社、工業会会員としての21の国の関係団体、さらに関係団体が存在しない国の企業からなる賛助会員が参加しています。日本からは、高砂香料工業が正会員として、また日本香料工業協会（JFFMA）が工業会会員として参画しています。

目的と役割

設立以来、IFRAは香粧品香料に関する自主的な規制基準「IFRAスタンダード」を制定しています。香料には、天然素材から合成物質まで含まれる様々な成分があり、特に人体に有害な影響を与える可能性がある物質も存在します。これらの危険性に対抗するため、法律的な規制が整備される前から、自主規制として安全性基準が設けられているのです。正会員や工業会会員、賛助会員に所属する企業は、これらの基準を遵守することで、香料や香粧品の安全性を担保し、業界の発展を促進しています。

IFRAスタンダードの内容

IFRAスタンダードは、1966年に設立された香粧品香料原料安全性研究所（RIFM）が収集した科学的データに基づき設けられています。この基準は、香料の使用について、用途別に禁止や制限、規格設定を行うもので、細分化された12カテゴリー（細区分含む18カテゴリー）があります。また、2〜3年ごとに改定が行われ、2024年現在では第51次修正が確定しています。

使用の禁止および制限

• - 禁止 (Prohibition, P): 香粧品香料としての使用が一切禁止されている成分（例: ゲラニルニトリル、ムスクキシレンなど）。
• - 制限 (Restriction, R): 科学的データに基づき、用途別に使用限度が設定されている成分（例: シトラール、ゲラニオールなど）。
• - 規格 (Specification, S): 使用される香料の科学的規格を定めるもので（例: リモネン、リナロール）。

IFRA透明化リスト

IFRAは、透明性を重視しており、RIFMによる安全性評価に関連した香料物質の使用量調査を基にした「IFRA透明化リスト」を公開しています。2024年現在、最新の2022年版には3,224種類の香料成分と395種類の機能性成分が含まれています。

サステナビリティへの取り組み

近年、サステナビリティへの関心が高まる中、2020年にはIFRAが国際食品香料工業協会（IOFI）と共に「IFRA-IOFIサステナビリティ憲章」を策定しました。これにより、持続可能な香料業界を推進するための指針が示されています。

業界への影響

IFRAスタンダードは香料業界の自主規制を超え、各国の法律や規制にも影響を与えています。例えば、EU消費者安全科学委員会は安全性調査の参考文献としてIFRAスタンダードを使用し、ニュージーランドでは香粧品の香料使用にIFRAスタンダードの遵守を求めています。また、中国ではこのスタンダードが国家標準に組み込まれています。

まとめ

IFRAは香粧品香料に特化した団体であり、食品香料に関する規制や活動は国際食品香料工業協会が担っています。その役割は、香料業界の安全性の向上やサステナビリティの推進に寄与しており、多くの企業や国々に影響力を持っています。

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