園部逸夫

園部逸夫の略歴

園部逸夫（そのべ いつお、1929年4月1日 - 2024年9月13日）は、日本の著名な法学者であり、特に行政法の分野での研究で知られています。彼は、法学博士（京都大学・1967年）を取得し、行政手続の法理に関する学位論文を発表しました。学界の中で、大きな影響力を持つ存在となり、筑波大学社会科学系教授、成蹊大学法学部教授、そして最高裁判所判事としての役割を担ってきました。

生い立ちと教育

日本統治時代の朝鮮に生まれた園部は、家庭環境も裁判官に関連していました。祖父の代から裁判官書記として朝鮮に渡った一家の中で育ち、本籍は岐阜県です。名の由来は父のドイツ留学中に生まれたことに由来しています。

1945年、父親である園部敏が行政法学者として台北帝[[国大学]]の教授に就任したことから、家族は台北に転居しました。旧制台北一中や台北高校を経て内地に引揚げ、その後、金沢の旧制第四高等学校を経て京都大学法学部を卒業しました。

終戦直後の1945年には、警備召集により帝国陸軍に入隊し、台北大空襲を経験しましたが、戦闘の実戦には関与することなく除隊しました。この経験は彼の後の法的な思考に影響を与えたとされています。

法学者としてのキャリア

京都大学法学部を卒業後、園部は同大学から助手としてキャリアをスタートさせ、1956年には同助教授に昇進しました。その後、1959年から1967年までコロンビア大学法科大学院に留学し、帰国後に学位論文『行政手続の法理』をもとに法学博士を取得しました。行政法の研究が専門であり、父親と同じ道を歩んでいきました。

判事としての役割

1970年に東京地方裁判所に任官し、以降のキャリアでも法曹界での活躍が目立ちました。司法試験を通過せずに裁判官となった数少ない例でもあり、その後東京高等裁判所や前橋地方裁判所、そして最高裁判所の裁判所調査官を歴任します。

1989年には最高裁判所判事に就任し、元号が平成に変わった初の最高裁判事としても知られています。彼は1990年の国民審査で罷免されることなく信任を得ました。

退官後の活動

1999年に最高裁判所を退任した後、弁護士としての活動を開始し、住友商事株式会社の監査役や外務省参与としても活躍しました。また、2014年には名古屋総合法律事務所の顧問としても活動していました。

飛躍的な影響

園部はその専門的知識を用いて、外国人地方参政権に関する重要な判断を行ったことで知られ、特に1995年の最高裁判決における「傍論」部分に関して注目を集めました。彼は、定住外国人に地方参政権を付与することを禁止していないとの判断を示し、その影響は現在に至るまで続いています。

著作と寄与

多数の著作を著し、学術界にも大きな寄与をしたことで、法学教育にも影響を与えました。また、小泉内閣においては皇室典範に関する有識者会議座長代理を務め、女系・女帝容認の報告書を提出しました。

最後に

2024年9月13日、園部は95歳で逝去しました。生涯にわたり法学と司法の発展に寄与した彼の業績は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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