土井利器

土井利器（どい としかた）

土井利器は、越前国大野藩の第6代藩主であり、利房系土井家の6代目にあたります。彼の生誕は天明3年（1783年）6月4日で、下総関宿藩主・久世広誉の十一男として、江戸・西の丸の藩邸で生まれました。初めは奥原秀五郎という名前で知られていましたが、1795年に久世姓に戻しました。後に、寛政5年（1793年）には雄之丞と名乗るようになり、その後の展開には注目が集まります。

文化6年（1809年）8月、越前大野藩主・土井利義の養子となり、土井利器へと名を改めました。この少し後の同年12月には、従五位下・甲斐守という位を得ることになります。そして文化7年（1810年）3月10日、土井利義が隠居することで、家督を継承しました。利器が養子となった経緯には、土井家の縁者を選ぶ際に、広誉の祖父である久世広明が旗本土井家の出身であることが関わっていると考えられています。

利器の藩主としての歴史は、厳しい財政状況に悩まされました。文化9年（1812年）8月に大坂の加番となるも、藩の財政は苦しく、倹約を試みるも状況は改善せず、ついには家臣に対する禄を支払えない状況までに至りました。このような困難な環境の中で、彼は文政元年（1818年）5月17日に大野城二の丸で死去しました。享年は36歳でした。

利器は自らに男子を持たなかったため、先代の土井利義が隠居した翌年に生まれた長男の土井利忠を養子に迎え、その家督を継がせました。これにより、土井家の血筋は続くことができました。

系譜

• - 父: 久世広誉
• - 母: 道樹院（側室）
• - 養父: 土井利義

正室

• - トシ（土井利義の娘）

側室

• - マス

子女

• - 娘
• - 土井利忠（土井利義の長男）

土井利器の短い生涯は、彼自身の才能や意志とは裏腹に、時代の流れや家族の事情に大きく影響された実情を物語っています。藩の経済的な困難が彼の統治を制約していたことは事実ですが、その中でも家族を大切にし、次の世代へとバトンを渡した姿勢には藩主としての責任感が表れていました。

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