土佐坊昌俊

土佐坊 昌俊

土佐坊昌俊（とさのぼう しょうしゅん）は、平安時代末期の有名な僧兵および武将で、源頼朝に仕官し、治承・寿永の乱に参加したことで知られています。彼の生涯は、当時の動乱と忠義の象徴として語り継がれています。

生涯の概要

昌俊は大和国の興福寺金剛堂に属する堂衆でした。彼は年貢の問題で針の庄の代官を夜襲したことから大番役として上洛中の土肥実平に仕官され、実平と共に関東に下向することになりました。その後、源頼朝に臣従し、彼の御家人として治承・寿永の乱に参戦します。

文治元年（1185年）、頼朝とその弟義経の間に対立が生じ、この状況下で義経を討つために昌俊は自ら名乗り出ます。彼は下野国にいる老母と乳児の行く末を頼朝に託し、その後頼朝から支援を受けました。

昌俊は弟の三上弥六家季ら83騎を率いて10月9日に鎌倉を出発し、17日に義経の館がある六条室町亭を襲撃します（堀川夜討）。義経の家人たちは手薄であったものの、義経自身が忠信らを引き連れて出撃し応戦しました。結果、昌俊と彼の軍勢は敗北し、昌俊は鞍馬山に逃れますが、義経の郎党に捕らえられ、家人と共に六条河原で処刑されました。

頼朝の戦略

頼朝は昌俊に対し上洛を命じていましたが、義経にはすでに暗殺計画が伝えられていました。義経は後白河法皇から頼朝追討の宣旨を受けており、昌俊の襲撃を事前に知っていた可能性が高いです。この背景から、昌俊の派遣は義経を挑発して頼朝の反旗をひるがえさせるための策略であったとも見なされています。

金王丸の伝説

興味深いことに、土佐坊昌俊が源義朝の死を愛妾である常盤御前に伝えた郎党である金王丸と同一視される説も存在します。ただし、この主張を支持する史料は確認されていません。伝説によれば、昌俊は幼少の義経を知っていたため討つことをためらったとされます。

由緒ある金王八幡宮

昌俊の祖父にあたる河崎冠者基家は、武蔵国豊島郡にあたる谷盛庄を授与され、金王八幡宮は彼に由来する神社です。この神社は渋谷氏の居城であった渋谷城の一部であり、金王丸を祀る影堂も存在します。史実では、昌俊や金王丸にまつわる話が神社を通じて地域の文化に溶け込んでいます。

結論

土佐坊昌俊の生涯は、平安時代末期の混乱と人々の忠誠心を象徴するものでした。彼が直面した選択と、その後の運命は、当時の権力闘争の複雑さを物語っています。彼の存在と伝説は、日本の歴史の中で今なお輝きを放っています。

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