土居下駅

土居下駅について

土居下駅は、かつて愛知県名古屋市中区に存在した名古屋鉄道瀬戸線の駅です。この駅は、名古屋城の外堀の跡地を利用した「お壕区間」と呼ばれる区間の入り口に位置していました。

駅名の由来

土居下という名前は、この地がもともと湿地帯であったものを埋め立て、尾張藩主が名古屋城から脱出するための通路として整備したことに由来します。この地域は、その警備を担当した同心組の屋敷があったため、「御土下」または「御土居下」と呼ばれていました。

歴史

開業と初期

1911年（明治44年）5月23日、瀬戸電気鉄道が大曽根から延伸し、その終着駅として土居下駅が開業しました。同年10月1日には堀川まで路線が延伸され、中間駅となりました。当初、土居下駅は相対式ホーム2面2線のシンプルな構造で、構内踏切でホーム間が繋がっていました。

お壕区間の終焉と駅の移転

その後、瀬戸線は名古屋の中心部である栄付近（栄町駅）への乗り入れが計画され、お壕区間は廃止されることになりました。1976年（昭和51年）2月14日には、土居下駅 - 堀川駅間が運転休止となり、土居下駅は従来の位置から北側へ約300m移転し、仮のターミナル駅となりました。この仮駅は、単式ホーム1本のみという簡素なもので、代替バスとの接続のために、名鉄バスの停留所が隣接して設けられました。仮駅は、現在の清水駅から東大手駅間にあるカーブの入り口付近に設置されました。

仮駅としての役割

当初、暫定的な終点駅および代替バスとの接続駅は隣の清水駅とする案もありましたが、県庁や市役所方面へのアクセスを考慮し、土居下駅を仮駅として移設する案が採用されました。代替バスの利用者は、バス運賃を支払い、土居下駅で差額を支払うことで電車区間に乗車できました。逆に、電車区間から代替バスを利用する場合は、乗車券を見せることで乗車できました。

廃止

1978年（昭和53年）8月20日、瀬戸線が栄町駅まで延伸し、同時に休止されていた東大手駅が地下駅として復活しました。これにより、土居下駅は役割を終え、廃駅となりました。仮駅時代に使用された簡易駅舎は、名古屋本線の左京山駅に転用されましたが、現在は解体されています。

現在の状況

仮駅の跡地は、現在バス停「土居下」付近の県道沿いに緑地帯として残っています。この緑地帯は、かつての駅の存在をわずかに物語っています。

年表

1911年（明治44年）5月23日：瀬戸電気鉄道により開業。
1911年（明治44年）10月1日：堀川まで延伸し、中間駅となる。
1943年（昭和18年）10月以前：柳原信号所間の単線区間が複線化。
1976年（昭和51年）2月15日：堀川 - 東大手間を廃止、東大手 - 当駅間を休止。同時に移転し、仮の終着駅となる。
* 1978年（昭和53年）8月20日：栄町延伸に伴い廃止。

隣の駅

名古屋鉄道（名鉄）

瀬戸線

大津町駅 - （東大手駅） - 土居下駅 - 清水駅

東大手駅は1944年から土居下駅廃止時まで休止

まとめ

土居下駅は、名古屋の歴史と都市開発の変遷を象徴する駅でした。その短い歴史の中で、名古屋の発展と共に変化し、役割を終えた今も、その跡地は静かに過去を語り続けています。

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