土居明夫

土居明夫：陸軍中将、ソ連研究の第一人者

土居明夫は、1896年（明治29年）に生まれ、1976年（昭和51年）に没した日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。彼は、その生涯を通じて、騎兵科の専門家として、またソ連研究の第一人者として、日本の軍事・政治に深く関わりました。

生い立ちと初期の軍歴

土居明夫は、旧土佐藩士の家系に生まれ、警察署長を務めた父・土居正明の次男として育ちました。海南中学校、大阪陸軍地方幼年学校、中央幼年学校を経て、1917年（大正6年）に陸軍士官学校（29期）を卒業。騎兵科に進み、騎兵第11連隊に配属されます。1920年（大正9年）からは、シベリア出兵に参加し、実戦経験を積みました。1927年（昭和2年）には、陸軍大学校（39期）を優等で卒業し、騎兵第11連隊中隊長に就任しました。

ポーランド・ソ連駐在とソ連研究

1928年（昭和3年）からは陸軍[[騎兵学校]]教官などを務め、1932年（昭和7年）から1934年（昭和9年）にかけて、ポーランドとソ連に駐在しました。この経験が、彼のソ連研究の基礎を築いたと言えるでしょう。この間、騎兵少佐に昇進。帰国後は、騎兵学校教官や参謀本部員（ロシア課）などを歴任し、1936年（昭和11年）には騎兵中佐に進級しています。1937年（昭和12年）には、大本営第5課長を兼務し、ソ連大使館付武官に転じ、1938年（昭和13年）には騎兵大佐に昇進しました。

戦時中の活動

1940年（昭和15年）には、参謀本部ロシア課長に発令され、その後、参謀本部作戦課長、第3軍参謀副長を歴任し、満州に赴任しました。1941年（昭和16年）には、陸軍少将に進級し、太平洋戦争を迎えます。1942年（昭和17年）には、第3軍参謀長に就任し、関東軍情報部長、第13軍参謀長と要職を歴任し、1945年（昭和20年）には陸軍中将に進み、上海で終戦を迎えました。

戦後の活動

終戦後、1946年（昭和21年）には、南京政府国防部顧問となりますが、1948年（昭和23年）に公職追放の仮指定を受け、同年10月に帰国。その後、1951年（昭和26年）から1976年（昭和51年）まで、大陸問題研究所長を務め、ソ連や共産主義に関する研究を続けました。また、著述活動も積極的に行い、多くの著作を残しました。

著書

土居明夫は、ソ連研究の第一人者として、以下の様な多くの著作を刊行しています。

『ロシアの解剖 反共産主義の方向を歩む』 (1940年)
『米ソ戦と日本』 (1952年)
『新軍備との対決 新しい日本の国防』 (1953年)
『ソ連の戦術 ソ軍野外教令』 (1953年)
『朝鮮と中共 アイク政策の検討』 (1953年)
『差し向かいの毛沢東 中共首脳部の肚を叩く』 (1957年)
『変りゆくソ連』 (1960年)
『共産国を揺がした十冊の本』 (1960年)
『フルシチョフと毛沢東』 (1961年)
『ソ連の変化を語る』 (1966年)
* 『新戦略と日本』(1968年)

これらの著書は、当時のソ連や共産主義の実情を分析し、日本の国防や外交政策に影響を与えたと言えるでしょう。

親族

弟には、台北市長を務めた土居美水がいます。

まとめ

土居明夫は、騎兵科の軍人としてキャリアを積みながら、ソ連研究の第一人者として日本の軍事・政治に貢献した人物でした。戦後は、大陸問題研究所長として、また著述家として活躍し、その知識と経験を社会に還元しました。彼の生涯は、激動の時代を生きた軍人の姿を伝えています。

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