土屋公献

土屋公献：人権擁護に尽力した弁護士、その功績と賛否

土屋公献（つちや こうけん）は、1923年4月3日に生まれ、2009年9月25日に没した日本の弁護士です。日弁連会長も務め、人権擁護に尽力する一方で、その活動は様々な議論を呼びました。

人物

土屋氏は、旧日本軍による731部隊や重慶爆撃などの国家賠償請求訴訟において弁護団長を務め、被害者救済に尽力しました。また、在日コリアンの人権問題にも深く関わり、朝鮮総連の代理人を務めるなど、その権利擁護に奔走しました。朝鮮高級学校生徒の高校体育連盟加盟問題では、日弁連に人権救済を申し立て、高校総体参加への道を開きました。

しかし、北朝鮮による日本人拉致事件においては、拉致被害者の家族を非難する発言も行い、物議を醸しました。また、朝鮮総連中央本部をめぐる詐欺事件への関与も指摘されるなど、その活動は常に賛否両論を呼びました。

慰安婦問題では、国連において慰安婦を「性的奴隷」と定義するよう働きかけ、日本政府に補償を求める運動を展開しました。

経歴

1923年、東京市芝区（現在の東京都港区）に生まれました。府立化学工業学校を経て、1943年に静岡高等学校 (旧制)に入学しますが、従軍により学業を中断。父島に配属され、小笠原事件に遭遇しました。この事件をきっかけに弁護士を志したと語っています。なお、事件については、人肉食の事実はなかったと証言しています。

復員後、1946年に復学し、1948年に卒業。1952年に東京大学法学部を卒業。1957年に33歳で旧司法試験に合格し、1960年に司法修習12期を修了して弁護士登録しました。1979年からは司法研修所教官を3年間務め、1991年には日弁連副会長、1994年には日弁連会長に就任しました。

2009年9月25日、腎癌のため逝去。

関連運動・団体

土屋氏は、無防備地域宣言運動全国ネットワークの呼びかけ人や、731部隊細菌戦国家賠償請求訴訟の弁護団長、アフガニスタン国際戦犯民衆法廷の検事団長などを務めました。また、戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会や、「慰安婦」問題の立法解決を求める会の会長、9条ネット共同代表、日本の過去の清算を求める国際連帯協議会日本委員会代表など、様々な団体の活動に関わりました。

オウム真理教事件の公判中に安田好弘弁護士が逮捕された際には、安田弁護団を結成しました。

発言

土屋氏は、拉致問題について、2002年までは存在せず、日本側の詭弁であると主張していましたが、後に考えを改め、北朝鮮政府に裏切られたと感じていると語っています。

また、自民党政府がアメリカ政府と一緒になってアジアに敵対していると批判し、日米軍事同盟に頼るべきではないと主張しました。

国家賠償請求訴訟においては、一人あたり500万円の賠償を求めた場合、総額10兆円になるが、これは日本の国防費と比較して不可能ではないと述べています。

朝鮮総連に対しては、日本政府が過去を清算しようとしないことを批判し、アジアに対して謝罪し、信頼を築くことが平和への道であると訴えました。

北朝鮮との関係

2007年、朝鮮総連本部ビル売却問題で、緒方重威氏から依頼を受け、総連の代理人を務めたとされています。警察の事情聴取に対し、合法性を主張しました。

関わった主要な訴訟

731部隊細菌戦国家賠償請求訴訟
重慶大爆撃賠償請求訴訟

土屋公献氏は、人権擁護に尽力した弁護士である一方、その活動は常に賛否両論を呼びました。特に、北朝鮮との関係や拉致問題に関する発言は、多くの議論を呼びました。しかし、その功績と影響は、日本の人権史に深く刻まれています。

もう一度検索