土御門藤子

土御門藤子（つちみかど ふじこ）

土御門藤子は、江戸時代末期から明治初期にかけて活躍した公家の女性です。1842年頃に生まれ、1875年7月13日に亡くなりました。土御門晴親の四女で、幼名はふぢ。別名として邦子や澄姫とも呼ばれました。大奥では「桃の井」と称しました。

生涯

1860年、孝明天皇の皇妹である和宮親子内親王が、徳川家茂に降嫁することが決まると、土御門藤子は和宮付きの乳母として江戸に下りました。ただし、和宮に授乳をした乳母は田中藤（少進）であり、土御門藤子とは別人です。

江戸城大奥では、和宮の側近として、観行院、庭田嗣子、能登らと共に活躍しました。特に、和宮を批判する大奥の老女たちとは対立し、和宮を支えました。1865年に観行院が亡くなると、それまで以上に和宮に尽力しました。庭田の死後は、側近の筆頭になったとも言われていますが、橋本麗子のほうが身分が上であったため、真偽は定かではありません。

1868年、新政府軍が江戸に進軍すると、和宮の使者として京に上りました。橋本実麗、橋本実梁父子に宛てた和宮の直筆の手紙と、徳川慶喜の嘆願書を持っていました。桑名の光徳寺で橋本実梁と面会した後、京に上洛し、議定や参与に面会しました。和宮の直筆の手紙を携え、徳川家の存続を嘆願しましたが、御所に手紙を出すことはしないようにと諌められました。しかし、土御門藤子は縁ある公卿や女官を頼り奔走し、12日間の滞在の結果、ついに「慶喜が恭順の道に尽くすならば」という条件で、徳川家存続の内旨を得ました。同年、再び和宮の命で、実梁と進軍の猶予を求める交渉も行っています。

1869年、和宮が京都に戻ると、それに従い実家に戻りました。

なお、土御門藤子の墓は京都の梅小路梅林寺にあり、「邦子」という名で刻まれています。

土御門藤子が登場する作品

土御門藤子は、以下の作品に登場しています。

テレビドラマ

『篤姫』（2008年、NHK大河ドラマ、演：竹本聡子）
『大奥』（2023年、NHK、演：山村紅葉）

小説

植松三十里『女たちの江戸開城』（双葉社）
改題『大奥開城　女たちの幕末 』（双葉文庫）
植松三十里『天璋院と和宮』（PHP文庫）

漫画

よしながふみ『大奥』（白泉社）


土御門藤子は、和宮に忠実に仕え、激動の幕末を生き抜いた女性でした。彼女の行動は、歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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