土曜映画招待席 (TBSテレビ)

土曜映画招待席・土曜シネマシアター：1980年代後半の邦画黄金時代を彩った番組

1985年10月から1992年3月まで、TBS系列で放送された映画番組『土曜映画招待席』と『土曜シネマシアター』。この番組は、1980年代、邦画の放送枠が減少する中、土曜日の正午前後の視聴率が低い時間帯に目を付けたTBSによって開始されました。

番組開始当初のタイトルは『土曜映画招待席』。1985年10月5日から1989年9月30日まで放送され、その後、タイトルを『土曜シネマシアター』に変更し、1989年10月14日から1992年3月28日まで放送されました。放送時間は、開始当初は10時～11時35分でしたが、その後12時～13時台へと変更されました。

『土曜映画招待席』と『土曜シネマシアター』は、東宝の『社長シリーズ』や『お姐ちゃんシリーズ』、東映の『トラック野郎シリーズ』、松竹の『旅行シリーズ』など、多くの作品を放送しました。これらの作品は、当時すでに人気作として知られていましたが、この番組を通じて改めて注目を集め、人気が再燃した作品も多くありました。

特筆すべきは、それまであまり知られていなかった作品を放送したことで、新たなファンを獲得する作品が生まれたことです。『若い季節』や『サラリーマン忠臣蔵』など、再評価された作品も少なくありませんでした。洋画作品も放送しており、幅広い層の視聴者を楽しませました。

番組では、解説者は通常配置されていませんでしたが、1987年8月15日の終戦記念日特別企画として放送された『東京裁判』では、当時『月曜ロードショー』で解説を務めていた荻昌弘氏が解説を担当しました。これは、番組にとって特別な試みであったと言えるでしょう。また、1989年7月15日には美空ひばりの追悼企画として『ひばりのすべて』が放送されました。翌週の7月22日は美空ひばり本葬の中継があったため、『土曜シネマシアター』は休止されました。

1992年3月28日の放送をもって、『土曜シネマシアター』は6年半の歴史に幕を閉じました。その後、この時間帯は2時間ドラマの再放送枠『特選!傑作ドラマシリーズ』となり、1996年4月からは『王様のブランチ』の午後の部が放送されるようになりました。地上波での邦画専門の映画番組は、次第に深夜へと放送時間が移行していくことになります。

『土曜映画招待席』と『土曜シネマシアター』は、1980年代後半から1990年代前半にかけて、多くの視聴者に邦画の魅力を伝えた、重要な映画番組でした。番組で放送された作品は、日本の映画史において重要な位置を占めており、これらの作品を再び見返すことで、当時の時代背景や日本の映画文化の一端を垣間見ることができるでしょう。番組の終了は、地上波における邦画放送の縮小を象徴する出来事でもありました。この番組が、現代の映画ファンに与えた影響は計り知れません。

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