土橋一吉

土橋 一吉（1908年 - 1982年）

土橋一吉（どばし かずよし）は、1908年5月1日に島根県簸川郡多伎町（現在の出雲市）で生まれ、1982年12月17日に東京都で亡くなった日本の政治家であり、労働運動家である。彼は日本共産党の公認候補として衆議院議員を3期にわたり務め、重要な役割を果たした。

学歴と初期のキャリア

土橋は1931年に明治大学法学部を卒業後、1934年には東京中央郵便局に勤務し始める。彼の政治的活動は戦後に活発化する。1946年、全逓信労働組合（現在の日本郵政公社労働組合）の設立に深く関わり、初代委員長に就任した。この労働組合は、当時の労働者の権利を守るために先駆的な活動を行った。

労働運動と政治活動

土橋は全日本産業別労働組合会議（産別会議）の副議長として、1947年の二・一ゼネストを主導した。このストライキは、戦後の労働条件改善を求める重要な出来事として知られ、土橋の指導力が光った瞬間であった。同年12月、土橋は衆議院の逓信委員会への証人喚問を受け、労働運動における彼の立場を公に問われることとなった。

その後、1947年11月に日本共産党に入党し、彼の政治的な理念が明確に表れ始めた。1949年1月の衆議院選挙では、東京7区から出馬し初当選を果たす。この選挙では共産党が大幅に議席を増やし、35議席を獲得する結果となったが、マッカーサーによるレッドパージが影響し、土橋はその後、1950年8月に党の指導者たちとともに追放処分を受ける。

追放後の活動

追放後、土橋は中国に渡り、1959年まで過ごした。帰国後は党内での活動を続け、1970年代に入ると再び国政に進出する。1969年の衆院選では東京7区から再度当選し、19年ぶりに国政の舞台に戻った。1972年には衆議院議員選挙でトップ当選を果たすも、1976年の選挙には東京11区から出馬するが、残念ながら落選。その後、地盤を岩佐恵美に譲り、引退を表明した。

晩年と死去

1982年12月17日、土橋は膀胱癌により東京都立川市の病院で74歳でこの世を去った。彼の死は日本の政治界における一時代の終焉を象徴するものであった。

著作

土橋は『私はなぜ共産党に入ったか』（解放社、1949年）を岩間正男との共著として執筆しており、彼の思想や活動について後世に担保する作品となっている。

参考文献

彼についての情報は、特に『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』（日外アソシエーツ、2003年10月）などに詳しく記載されている。

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