土気城

土気城（とけじょう）

土気城は、千葉県千葉市緑区土気町に所在した日本の城です。その歴史は古く、神亀年間（724年-729年）に大野東人によって築かれた貴船城が起源とされています。その後、千葉氏の勢力下に入り、長らく千葉氏の武将がこの地を拠点としました。

歴史

室町時代になると、土気荘の地頭職を得た千葉氏の流れを汲む土気氏が土気城に拠りました。しかし、室町時代後期には一時的に大関城主の畠山重康の勢力下に入ります。1487年（長享元年）、中野城主の酒井定隆が原氏と組んで侵攻し、翌1488年（長享2年）には酒井氏が土気城を掌握しました。以後、酒井氏が滅亡するまでの100年強、同氏の一族がこの城を本拠としました。酒井定隆は三男の隆敏と共に土気から東金に移り、隆敏は東金酒井氏の祖となりました。

1564年（永禄7年）の第二次国府台合戦では、土気酒井氏は里見氏に味方し、里見氏敗退後は北条氏に組した東金酒井氏を含む北条勢に攻められました。この際、搦め手にあたるクラン坂方面から北条勢が攻め寄せたとされますが、酒井胤治がこれを撃退しました。その後、土気酒井氏も北条氏に降伏し、1590年（天正18年）の小田原征伐では酒井氏は北条方として小田原城に籠城しました。北条氏の滅亡とともに、酒井氏もその命運を共にし、土気城は豊臣方に接収されて廃城となりました。

構造

土気城は、東に突き出した舌状の台地上に築かれており、その地形を巧みに利用しています。台地上に切れ込んだ谷や空堀を設け、城域を区画しています。城域は三角形状をしており、本丸、二の丸、三の丸、そして出丸に分けられています。それぞれの区画は空堀によって隔てられており、特に二の丸と三の丸の間には二重の空堀が設けられています。

出丸は、三の丸の端に位置する貴船神社が鎮座する郭と、井戸沢の向かいの尾根上に築かれた水沢郭の二つがあります。三の丸端の郭は馬出状の構造になっています。大手道は、馬出状の出丸から三の丸、二の丸を経由する経路ですが、本丸から金谷方面へ直接下る経路は搦め手にあたり、高低差のあるこの経路には空堀を兼ねたクラン坂と呼ばれる切通しが設けられています。

遺構

現在、二の丸と出丸の一部は開発により旧状を失っていますが、その他の郭は良好な状態で残っており、土塁や空堀が確認できます。特に、1564年（永禄7年）の第二次国府台合戦の激戦地となったクラン坂は、本丸、二の丸へと続く切通しとして現存しています。

脚注

土気城の築城は神亀年間まで遡るとされる。
戦国時代には、里見氏や北条氏との間で攻防が繰り広げられた。
現在も土塁や空堀などの遺構が残る。

関連項目

本養寺 (千葉県長生村))
* 日本の城一覧

もう一度検索