大野東人

大野東人（おおののあずまびと）

大野東人は、奈良時代に活躍した公卿であり、武人としてもその名を歴史に刻んでいます。父は糺職大夫（きゅうしょくたいふ）の大野果安（おおの の はたやす）で、姓は君から後に朝臣へと改められました。官位は従三位・参議にまで昇進しました。

若き日の活躍

714年、大野東人は正七位上の位を持ち、布勢人と共に170騎の騎兵を率いて新羅使の入京を迎えました。719年には二階級特進し、従五位下に叙せられます。724年には聖武天皇の即位後まもなく従五位上に昇叙され、その才能を早くから認められていました。

蝦夷討伐と東北地方の開拓

724年、蝦夷が反乱を起こすと、大野東人は鎮圧軍の副将軍格として従軍し、多賀柵を築きました。725年にはその軍功により従四位下に叙せられ、勲四等を授与されました。729年には陸奥鎮守将軍に任じられ、鎮兵の功績に対する叙位を上奏し、多くの兵士が昇進しました。733年には出羽柵を現在の秋田市付近に移し、蝦夷の開拓をさらに進めました。

奥羽連絡通路の開通

737年、陸奥按察使兼鎮守将軍の任にあった東人は、多賀柵から出羽柵への直通連絡路を開通させるために、男勝村の征討許可を朝廷に申請しました。藤原麻呂が持節大使として派遣され、東人は精鋭の兵を率いて奥羽山脈を横断し、男勝村の蝦夷を帰順させました。これにより、奥羽連絡通路が開通し、東北地方の支配がより強固なものとなりました。

藤原広嗣の乱での活躍

740年、藤原広嗣が九州で挙兵すると、大野東人は持節大将軍に任じられ、1万7000人の兵を率いて討伐に向かいました。長門国に到着後、先発隊を派遣して板櫃鎮を攻略。広嗣軍との激戦を制し、広嗣を捕らえて処刑しました。この功績により、741年には従四位上から三階昇進し、従三位に叙せられました。

その後

藤原広嗣の乱鎮圧後、大野東人は旧都平城京の留守役に任じられました。742年11月2日、参議従三位の官位のまま亡くなりました。彼の死は、奈良時代の一つの時代の終焉を告げるものでした。

官歴

大野東人の官歴は以下の通りです。

714年：正七位上
719年：従五位下
724年：従五位上
725年：従四位下、勲四等
729年：陸奥国鎮守将軍
730年：従四位上
737年：陸奥按察使兼鎮守将軍
739年：参議、陸奥国按察使兼鎮守府将軍大養徳守如元
740年：持節大将軍（藤原広嗣追討）
741年：従三位
742年：薨去（参議従三位）

系譜

父：大野果安
母：不詳
子女：大野仲仟（尚侍兼尚蔵、藤原永手正室）

まとめ

大野東人は、奈良時代において、武人としても公卿としても傑出した人物でした。蝦夷討伐や藤原広嗣の乱での活躍、東北地方の開拓など、その功績は多岐にわたります。彼の存在は、古代日本の歴史において重要な役割を果たしました。

参考文献

宇治谷孟『続日本紀 （上）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

関連項目

紀牟良自
田辺難波

外部リンク

* 東北歴史資料館（日本語）

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