土田万助

土田萬助：秋田を支えた多才な人物

土田萬助（つちだ まんすけ、1869年2月16日 - 1942年6月15日）は、明治から昭和にかけて、大地主、篤農家、林業家、政治家、そして銀行家として多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼は貴族院多額納税者議員も務めました。

生い立ちと初期の活動

土田萬助は、出羽国平鹿郡（現在の秋田県横手市）で、土田吉治の長男として生まれました。その後、土田彦七の養子となります。秋田中学校（現在の秋田県立秋田高等学校）を経て秋田師範学校に進学しますが、中退して帰郷しました。1905年（明治38年）に養父の隠居に伴い家督を相続しました。

農業への貢献

萬助は農業の発展に尽力しました。1900年（明治33年）には館合村農会を設立し、科学農法を導入して米の品質改良に貢献しました。また、1905年（明治38年）に計画された区画整理事業を推進し、1917年（大正6年）までに450ヘクタールを完成させました。森林の荒廃を防ぐため、1888年（明治21年）から毎年植林を実施しました。これらの活動と並行して、平鹿郡農会長や地主会長も務めました。

政界での活躍

1903年（明治36年）以降、平鹿郡会議員、同議長、秋田県会議員、同議長、館合村長、秋田県町村長会長などを歴任しました。1918年（大正7年）には貴族院議員に互選され、同年9月29日に就任し、同成会に所属して1932年（昭和7年）9月28日まで2期在任しました。

実業界での活動

実業界においても、秋田銀行監査役、秋田信託社長、羽後銀行（現在の北都銀行）頭取などを務めました。塩田団平らとともに横荘鉄道の創業に参画し、横荘鉄道創設委員長として横荘線の開設に尽力し、後に横荘鉄道取締役となりました。

競馬との関わり

土田萬助が興した土田農場で生産された競走馬フレーモアは、長男の土田荘助が馬主でした。1934年に行われた第3回東京優駿大競走（日本ダービー）で優勝し、史上初で唯一の秋田県産日本ダービー優勝馬となりました。これは「初の個人牧場（オーナーブリーダー）生産馬の東京優駿優勝」であり、「府中最初のダービー馬」（目黒競馬場から移転した新生・東京競馬場で最初に行われた東京優駿）でもありました。

親族

土田家は多くの親族がおり、各方面で活躍しています。

祖父：吉太郎
父：吉治（明治6年没）
母（明治17年5月没）
養父：彦七（叔父）
養妹：ヨシエ (婿は 貴族院議員最上広胖孫 義廣)
妻：ムメヤ（明治9年7月生、照井治右衛門の二女）
長女：チヨノ（明23年10月生、夫は土田倉松の長男である薫司）
長男：荘助（明21年3月生、衆議院議員、妻は薄田太三郎の長女ヨシ）
孫：ハル（大正2年2月生、荘助の長女、夫は貴族院議員 保阪潤治の息子で貴族院議員 市島徳治郎の孫でもある 保阪隣三郎、義弟は子爵 伊東二郎丸の息子)
息子：祐吉（明26年8月生）
娘：コト（明29年1月生）
叔父：幸太（明治13年10月生、妻は高橋富治の長女トミノ、長女はキク）
妹：ナカ（明治5年8月生、夫は土田彦吉の二男である徳松）
義理の弟：耕蔵（明18年12月生、妻は渡部久四郎の孫チヨ。叔伯母の兄の妻は貴族院議員 池田甚之助の娘セチ)
耕蔵の長女：アイ（明治43年12月生）
義理の弟：幸治郎（明20年3月生）

土田萬助は、秋田県の発展に大きく貢献した人物として、その功績は今も語り継がれています。

参考文献

東洋新報社編『大正人名辞典 第3版』東洋新報社、1917年。
『秋田大百科事典』秋田魁新報社、1981年。
『日本ダービー50年史』日本中央競馬会、1983年11月。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年11月。
* 『秋田人名大事典（第二版）』秋田魁新報社、2000年7月。ISBN 978-4870202061。

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