地獄の狂獣 キッス・ライヴ

『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』（Alive!）は、1975年にキッスが発表した初のライブ・アルバムであり、彼らが全米規模の人気を獲得する上で重要な役割を果たしました。このアルバムは、『ローリング・ストーン』誌が選ぶ「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」で159位、「オールタイム・グレイテスト・ライヴ・アルバム50」では6位にランクインするなど、高い評価を受けています。

アルバムには、初期の3作品『キッス・ファースト 地獄からの使者』（1974年）、『地獄のさけび』（1974年）、『地獄への接吻』（1975年）から厳選された16曲が収録されています。当時、キッスはライブ・バンドとしての評価は高かったものの、レコードの売上は期待したほどではありませんでした。しかし、1975年3月に始まった『地獄への接吻』ツアー中に、同アルバムからシングル・カットされた「ロックンロール・オールナイト」がデトロイトで大ヒット。起死回生を期した彼らは、急遽、5月16日にコボ・ホールで行われたデトロイト公演をはじめ、クリーブランドやニュージャージー州などでの公演をレコーディングすることにしました。

レコーディングされた音源は、7月下旬から8月上旬にかけてニューヨークのエレクトリック・レディ・スタジオでオーバーダビングとミキシングが行われました。プロデュースとエンジニアリングは、ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリンを手掛けたエディ・クレイマーが担当しました。

アルバムは同年9月にリリースされ、12月にはキッスにとって初のRIAA公認ゴールドディスク、翌1976年1月にはプラチナディスクを獲得。「ロックンロール・オールナイト」もシングル・カットされ、12位まで上昇し、彼らがTop20に送り込んだ初のシングルとなりました。このアルバムの成功は、キッスが所属していたカサブランカ・レコードの深刻な財政難を救うことにも繋がりました。

収録曲は以下の通りです。

1. デュース - "Deuce"
2. ストラッター - "Strutter"
3. ガット・トゥ・チューズ - "Got To Choose"
4. ホッター・ザン・ヘル - "Hotter Than Hell"
5. ファイヤーハウス - "Firehouse"
6. ナッシン・トゥ・ルーズ - "Nothin' To Lose"
7. 激しい愛を - "C'Mon And Love Me"
8. パラサイト - "Parasite"
9. 彼女 - "She"
10. ウォッチン・ユー - "Watchin' You"
11. 10万年の彼方 - "100,000 Years"
12. ブラック・ダイヤモンド - "Black Diamond"
13. ロック・ボトム - "Rock Bottom"
14. コールド・ジン - "Cold Gin"
15. ロックンロール・オールナイト - "Rock And Roll All Nite"
16. レット・ミー・ゴー・ロックンロール - "Let Me Go, Rock 'N Roll"

これらの楽曲は、現在もコンサートで演奏される定番曲が多く含まれており、特に「ロックンロール・オールナイト」は、ライブのラストを飾るアンセムとして、長年にわたり愛され続けています。

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