地球に月までの距離以内に接近する天体の一覧

地球への月距離以内接近天体

この記事では、地球の中心から月までの平均距離である約38万4400kmの範囲に、将来接近する可能性のある天体についてまとめています。

概要

太陽の周りを公転する地球の軌道に対し、交差したり非常に接近したりする軌道を持つ天体は「地球近傍天体」と呼ばれ、これらは地球に衝突する潜在的なリスクを秘めています。現在、1万個以上の地球近傍天体が確認されています。

その中でも、特に1900年1月1日から2200年12月31日までの300年間において、地球の中心から38万4400km以内の距離にまで接近すると予測されている天体に焦点を当てています。

2013年末時点のデータに基づくと、この条件を満たす小惑星は354個がリストアップされており、合計で483回の接近が計算されています。これらの小惑星の大部分は、軌道が地球軌道を横断する「地球横断小惑星」に分類されるものです。一方、彗星でこの基準を満たす可能性があるとされているのは、シュワスマン・ワハマン第3彗星のBD核のみですが、この計算値には大きな誤差が含まれています。

一覧の対象と基準

この一覧に含まれるのは、1900年から2200年の間に、地球の中心からの最小接近距離が38万4400km以内となる予測がある天体です。

注意点として、このリストにはUS19720810のような、小惑星として正式に登録されていない突発的な火球現象は含まれていません。また、天体の直径は、アルベド（光の反射率）を一般的な値である0.13と仮定して推定されたものです。

特筆すべき接近事例と天体

衝突リスクの指標: 地球の半径（約6374km）以下の接近距離は、その天体が地球に衝突する可能性が高いことを意味します。

最も高精度な接近観測: これまでに観測された中で、最も高い精度で計算された地球への接近事例は、2011年2月4日の小惑星2011 CQ1によるものです。この天体は、地球の中心からわずか約1万2000kmの距離を通過しました。これは地表から見ると約6000kmの距離にあたります。

軌道計算に課題がある天体: アモール群に属する5個の小惑星がリストに含まれていますが、これらの天体は軌道の計算精度が十分でなく、必ずしもアモール群の厳密な定義から外れる可能性や、過去の地球接近によって軌道が変化した可能性が指摘されています。

唯一のアティラ群天体: リスト中の1998 DK36は、唯一のアティラ群に分類される天体ですが、これもまた軌道計算精度が悪く、アティラ群の定義（遠日点距離0.983AU以下）を満たさない可能性が示唆されています。（観測値は(0.98 ± 0.05) AUです）

最大級の天体: 推定される中で最も巨大な天体は、直径1015mの2011 MD5です。この天体は1918年9月18日に約35万9000kmの距離を通過した可能性が計算されていますが、この軌道も精度に課題があります。軌道精度が高い天体の中で最大級なのは、(153814) 2001 WN5 と (163132) 2002 CU11で、いずれも推定直径は約806mです。

小惑星番号と名称: このリストに含まれる天体のうち、小惑星番号が付与されているのは12個です。さらに、アポフィス、ベンヌ、Duendeの3つには固有の名称が付けられています。

短時間での連続接近: 短い時間間隔で複数の天体が地球に接近した事例も記録されています。例えば、2007年10月17日には、2007 UO6が14時52分に約35万9000kmを通過した後、わずか34分後の15時26分に2007 UN12が約7万5000kmの距離を通過しました。

24時間以内の最多接近: 1日（24時間）の間に最も多くの天体が接近した記録は3個です。これは2010年9月8日に発生し、2010 RX30、2010 RF12、2010 RK53の3つの天体が相次いで地球に接近しました。

関連情報

地球近傍天体や過去の衝突現象については、以下の関連項目も参考にしてください。

大量絶滅
火球
隕石の一覧
隕石の空中爆発の一覧
地球近傍天体
地球近傍小惑星
地球横断小惑星
潜在的に危険な小惑星

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