地蔵院 (京都市西京区)

地蔵院の魅力と歴史

地蔵院（じぞういん）は、京都市西京区に位置する臨済宗系の寺院で、衣笠山（えりゅうざん）という山号を持っています。本尊には地蔵菩薩が祀られ、その周囲は美しい竹林に囲まれていることから、「竹寺」や「竹の寺」とも呼ばれています。

歴史的な背景

この寺の歴史は、鎌倉時代にさかのぼります。当初、歌人である藤原家良がこの地に山荘を構えていましたが、貞治6年（1367年）に尼僧の妙性が所有権を取得すると、その年に室町幕府の管領である細川頼之によって新たに寺院が設立されることになります。これが地蔵院の始まりです。

頼之は、碧潭周皎（へきたんしゅうこう、宗鏡禅師）を招いて開山となり、自身が第二世に就任しました。また、寺の名は衣笠内大臣に由来し、本尊として延命安産の地蔵菩薩像が祀られています。この地蔵菩薩像は、最澄によって作られたとも言われています。

地蔵院は、多くの皇族の御願寺として機能し、境内は17万平方メートルに及び、26の末寺と54ヵ所の領地を持つ大規模な禅寺となりました。一休宗純が幼少期を過ごした場所としても知られていますが、当時は寺の栄光を極めていました。

しかし、応仁の乱によって伽藍は焼失し、その後の寺運は衰退しました。江戸時代には境内に2つの末寺しか残らなかったものの、細川氏の支援や皇室の恩恵により、貞享3年（1686年）に方丈が再建され、寺の景観も整えられました。

明治時代には、竜済寺と延慶寺を合併し、1968年には臨済宗天龍寺派から独立し、単立寺院としての道を歩み始めました。そして2017年には「一休禅師母子像」が境内に新たに建立されました。

境内の特徴

地蔵院の境内には数多くの文化財や重要な施設があります。

• - 本堂: 僧侶たちが集い、祈りを捧げる場所。
• - 方丈: 貞享3年に再建されたこの建物は、京都市の登録有形文化財として重要視されています。美しい襖絵が施されています。
• - 庭園「十六羅漢の庭」: 平庭式の枯山水庭園で、碧潭周皎が作庭したもので、面白い形に傾く羅漢たちが特徴です。
• - 細川頼之墓及び碧潭周皎の墓: 歴史的な人物の墓所も境内に存在します。
• - 一休禅師母子像: 一休宗純の母子像も近年建立され、その存在感を放っています。

文化財

地蔵院は数多くの文化財を有しています。

• - 重要文化財: 鎌倉時代の銅造千手観音坐像は、その小さな像高27.9cmながらも貴重な存在です。
• - 登録名勝: 庭園自体も京都市の登録名勝として認定されています。

アクセス方法

地蔵院へのアクセスは便利で、阪急嵐山線の上桂駅から徒歩約16分、または京都駅からは京都バスを利用して「苔寺・すず虫寺」行きの終点から徒歩約3分で到着します。

周辺の名所

地蔵院の近くには、西芳寺（苔寺や華厳寺（鈴虫寺）、浄住寺（黄檗宗）などの名刹があります。歴史的な町並みを散策しがら、これらの寺院も訪れてみるのも良いでしょう。

地蔵院は、公共交通機関のアクセスも良好で、ゆったりとした竹林に包まれたこの美しい寺院を訪れる価値は十分にあります。歴史的な背景と共に、多くの文化財に触れながら、心安らぐひとときを過ごしに訪れてみてはいかがでしょうか。

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