地震空白域

地震空白域とは

地震空白域（じしんくうはくいき）は、かつて地震活動が見られたにもかかわらず、長期間にわたって震源が存在しない、または今後しばらくは地震が起こらないと予測される地域を指します。この地域では震度ではなくマグニチュードを基準にされており、遠方で発生した地震による影響で揺れることがあっても、その地域自体は地震が起きないとされます。地震空白域は時として大地震の前兆と考えられることもあります。

認定基準

これまで、地震空白域の出現形態は多様であり、統一的な認定基準が存在しなかったため、定義づけが難しい概念でした。しかし、微小地震に関する観測技術の進展により、均一な地震カタログデータを使った統計解析が可能になり、認定への道が開かれました。特に、WiemerとWyssによる方法は、地震活動の変化量を標準偏差で規格化し、時系列グラフや静穏化マップを描出する技術を提供しました。この手法は1994年以降、多くの研究で利用されるようになりました。

概要とメカニズム

地震空白域は、一般的には第1種と第2種に分類されますが、一部の研究者は第3種空白域の概念も提唱しています。全ての空白域がこれらのメカニズムで説明できるわけではなく、現在もなお研究が進められています。

第1種空白域

このタイプは海溝型地震の帯状に連なる地域です。周辺では大地震が発生している一方で、この地域は長期間大地震を経験していないため、大きな力がかかっており、本格的な大地震が迫っているのではないかと考えられています。

第2種空白域

地震活動が多発する地域において、地震の震源がぽっかりと抜けたように存在する地域です。この地域は普段は小規模な地震が起こっているが、特定の時期以降、地震活動が極端に減少する、いわゆる「静穏化」した地域です。これはしばしば「地震が少ない地域」と誤解されることがあります。

第3種空白域

一部の研究者により提唱されている概念で、断層帯の中でも普段から中小規模の地震発生が見られる場所に位置しながら、地震が起きない領域です。この地域では力がかかっている状態にあり、第1種と第2種域の性質を持つ中間的な概念とされています。

地震空白域の発生メカニズム

地震空白域が形成されるメカニズムには、主に二つの考え方があります。一つは、地震やすべりを引き起こすエネルギーが伝わりにくく、結果として地震が発生しにくい状況です。流動的な物質が断層面やプレート境界面に存在し、エネルギーを減衰させるため、地震が起こらず滑っている状態です。

もう一つは、その領域での応力が安定していることが原因とされます。大きな圧力がかかっていないか、もしくは圧力が均衡して破壊に至っていないことから、地震が発生しないと考えられています。これにより、地震活動が一時的あるいは長期的に休止しているかのように解釈されます。

地震空白域と誤解されやすい点

地震空白域は、安定した地帯に位置する地域と混同されることがあります。たとえば、アフリカ中部や南アメリカ東部は安定した地盤をもつため地震がほとんど起こりませんが、これらは「地震空白域」ではなく安定帯や無震帯と呼ばれています。ここには地殻変動のない安定したプレートが存在し、地震のリスクがほとんど存在しません。

日本における地震空白域

日本は四つのプレートが接触する地震活動が活発な国であり、ほぼ全土で大地震のリスクが存在します。しかし、過去には「地震空白域」と言われた地域でも大地震が実際に発生しています。具体的には、2007年に能登半島北部で地震が発生するなどの例があります。北海道天売島西方沖や房総半島南方沖など、現在も存在する主な空白域があります。これらの区域は長い間静穏に保たれていますが、次の地震がいつ起こるかは不明です。日本における地震空白域の研究は今後も重要なテーマとされます。

地震空白域の理解には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。進行中の研究が進められ、地震活動の予測や防災への応用に期待が寄せられています。

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