坂上貞守

坂上貞守（さかのうえのさだもり）

坂上貞守は、平安時代初期から前期にかけて活躍した貴族です。左京大夫・坂上苅田麻呂の孫にあたり、父は但馬守の坂上鷹主です。官位は従五位上、丹波守にまで昇りました。

経歴

貞守は、承和元年（834年）に右馬助に任官し、その後、承和5年（838年）には左馬助に転じました。承和11年（844年）には父・鷹主の喪に服すために一旦官職を辞しますが、翌年の3月には本官に復帰しています。承和14年（847年）には従五位下に叙爵され、嘉祥3年（850年）には但馬介に任ぜられました。

同年、仁明天皇が崩御すると、まもなく左近衛少将に任官します。文徳天皇の時代には、左近衛少将を務める傍ら、越前介、美濃権介、丹波権介、丹波介といった地方官も兼任しました。また、この間、仁寿3年（853年）には従五位上に昇叙しています。天安2年（858年）には右馬頭に転任し、その後丹波介となりました。同年8月の文徳天皇崩御の際には、固近江関使を務めています。

清和天皇の時代には、丹波権守、美濃権守、美濃守、丹波守と、主に地方官を歴任しました。しかし、国政を部下に委ねていたため、良い評判はなかったと伝えられています。貞観18年（876年）9月9日に72歳で亡くなりました。最終官位は前丹波守従五位上です。

貞守の死後、後裔には南北朝時代に美濃国大野郡徳山郷を拠点とした徳山氏の当主、徳山貞信などが現れています。

人物

貞守は武芸を好み、弓馬の扱いに長けていました。特に鷹狩や馬術を得意とし、馬を見ればその優劣や出生地を間違えることは決してなかったと言われています。仏教への信仰心は篤くありませんでしたが、質素で静寂な生活を重んじていました。

官歴

以下は『六国史』に記載された貞守の官歴です。

承和元年（834年）：右馬助
承和5年（838年）：左馬助
承和11年（844年）12月：辞官（父の喪）
承和12年（845年）3月：復本官
時期不明：正六位上
承和14年（847年）正月7日：従五位下
嘉祥3年（850年）正月15日：但馬介、4月2日：左近衛少将
嘉祥4年（851年）正月：兼越前介、2月21日：兼美濃権介、4月1日：次侍従
仁寿3年（853年）正月7日：従五位上
斉衡2年（855年）正月15日：兼丹波権介
斉衡3年（856年）正月12日：兼丹波介
天安2年（858年）2月5日：右馬頭、3月24日：丹波介、8月27日：固近江関使、11月25日：丹波権守
天安3年（859年）正月13日：美濃権守
貞観2年（860年）11月27日：美濃守
貞観8年（866年）正月23日：丹波権守
貞観10年（868年）：丹波守
貞観18年（876年）9月9日：卒去（前丹波守従五位上）

参考文献

武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録 上巻』戎光祥出版、2009年

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